橋本(市)(読み)はしもと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「橋本(市)」の意味・わかりやすい解説

橋本(市)
はしもと

和歌山県北東部、紀の川両岸にまたがる市。1955年(昭和30)橋本町と隅田(すだ)、岸上(きしかみ)、山田、紀見(きみ)、学文路(かむろ)の5村が合併して市制施行。2006年(平成18)高野口町(こうやぐちちょう)を合併。1996年指定の橋本地方拠点都市地域の中心都市である。紀の川の河岸段丘と洪積段丘上に集落が広がる。段丘上には縄文弥生(やよい)遺跡や陵山(みささぎやま)、市脇(いちわき)などの古墳が多く、畿内(きない)に接し南海道に沿って早くから開けた地域である。橋本の地名は、豊臣(とよとみ)秀吉から許されてこの地で塩市(いち)を開くなどした応其(おうご)(木食上人(もくじきしょうにん))が1587年(天正15)紀の川に橋を架けたのに始まる。橋は3年後に流失し、以来明治まで架橋はなかったが、交通の要衝として地名は続いた。南海道にかわった伊勢(いせ)街道(現、国道24号)と高野(こうや)街道(現、国道371号)が交わり、また紀の川の川上船の河港でもあり、紀伊藩政期には舟継問屋(といや)場、伝馬(てんま)所、御仕入役所などが置かれ、伊都(いと)郡の中心地となった。いまもJR和歌山線と南海電気鉄道高野(こうや)線が交わり、大阪への通勤圏内に入り大規模住宅開発が進んでいる。ほかに高野線に並行して国道370号が走り、京奈和自動車道「橋本道路」(高野口、橋本、橋本東の各インターチェンジ)が通じる。カキ・ブドウ栽培、養鶏釣り竿(ざお)製造が盛ん。奈良県境の真土(まつち)(待乳)峠に近い隅田八幡神社(すだはちまんじんじゃ)は、日本最古の金石文を刻む国宝銅製仿(ぼう)製人物画像鏡で知られる。また八幡社別当職から台頭した中世武士団の隅田党(隅田一族)の氏寺の利生院護国寺(りしょういんごこくじ)もあり、本堂は国の重要文化財に指定されている。高野街道に沿う紀見峠には宿場跡があり、学文路には苅萱(かるかや)堂や紀州流土木の祖大畑(おおはた)才蔵の墓がある。面積130.55平方キロメートル、人口6万0818(2020)。

[小池洋一]

『『橋本市史』全3冊(1974~1975・橋本市)』『『橋本市史』全6巻(2001~2012・橋本市)』


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