楽家録(読み)がっかろく

精選版 日本国語大辞典 「楽家録」の意味・読み・例文・類語

がっかろく ガクカロク【楽家録】

雅楽書。安倍季尚の著。五〇巻。元祿三年(一六九〇)刊。雅楽に関する諸説古書から引用集録したもの。

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デジタル大辞泉 「楽家録」の意味・読み・例文・類語

がっかろく〔ガクカロク〕【楽家録】

雅楽書。50巻。安倍季尚あべすえひろ著。元禄3年(1690)成立。雅楽に関する先行文献を集成し、検討・考証したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「楽家録」の意味・わかりやすい解説

楽家録 (がっかろく)

音楽書。京都方楽人の安倍季尚(すえひさ)編集。1690年(元禄3)成立。50巻。雅楽全般に関する集大成書。神楽,人長,催馬楽,雑篇の巻以外はおおむね漢文記述で訓点は少ない。目録は,神楽(曲説,歌字),人長,催馬楽(曲説,歌字),和琴,箏,琵琶鳳笙(ほうしよう),篳篥(ひちりき),横笛,三管総論絃,樺制法,絃管系図,鞨皷(かつこ),太皷,鉦皷,壱皷,三之皷,鶏婁鼗皷(けいろうとうこ),揩皷(かいこ),三皷(加節,総論,用説),口伝名説,楽曲訓法,奏楽(故実,分類),本邦楽説,楽考,本朝律管,律呂算法,声調考正,番(つがい)舞,舞,舞楽装束,舞面,甲図,音楽珍器,楽器,年中奏楽,仏前奏楽,楽人姓氏幷家紋,旧処楽工,旧例,類話,疑惑,雑篇に分かれ,さらにそれが1183章に分類されている。内容は当時の雅楽のありさまを体系的にまとめ,末尾の引用書一覧に81部を超す音楽,歴史,有職故実,説話,物語,歌学等の書や中国文献を示すように,先行の説を掲げて照合できる体裁をとっている。引用書名に《教訓抄》がなく,安倍氏の家業篳篥の口伝が少ないなど疑問も残るが,図譜挿画が多く,雅楽の百科全書とも,現行雅楽に典拠を与える重要基本文献ともいえる。《大成録》として起筆し,増補改題後成立した原本は安倍家に伝わるらしいが,直系の季良奥書のある天覧本には目録がなく,傍系の季千筆本には目録1巻が付されている。《楽家録》《教訓抄》《体源鈔》を三大楽書,これに《続教訓抄》を加えて四大楽書ともいう。《楽家録》の活字翻刻は《日本古典全集》5期に所収
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楽家録」の意味・わかりやすい解説

楽家録
がっかろく

雅楽書。安倍季尚 (すえひさ) 著。 50巻。元禄3 (1690) 年成立。内容は神楽,催馬楽,楽器の構造,製法,その演奏法,楽曲解説,音楽理論,舞楽作法,装束,舞楽面,演奏記録,楽人など,雅楽のほとんど全領域にわたり,科学的かつ体系的に記述されている。さらに彼の属する京都方の流儀と異なるものがある場合や,当時と過去のやり方が異なる場合には,その相違を明らかにするという研究的態度もとっており,従来閉ざされた部分の多かった雅楽の世界が明らかとなり,後世の雅楽研究に貴重な資料となっている。

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世界大百科事典(旧版)内の楽家録の言及

【御神楽】より

…(2)鎮魂祭用神楽歌 《天地(あめつち)に》《神分(かみわか)も》《清(きゆ)らならば》。 神楽歌の曲目等を知る資料としては《江家次第》《神楽和琴秘譜》《鍋島本神楽歌》等があり,近世以降のものに関しては《楽家録》に詳しい。古式では最初の人長式に人長の名のり等かなり複雑な作法があり,《韓神》の後にも勧盃の後に人長が才男(さいのお)を呼び出して問答をして滑稽(こつけい)な芸をさせるなど,現行のものより人長の活躍が著しい。…

※「楽家録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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