極札(読み)きわめふだ

精選版 日本国語大辞典 「極札」の意味・読み・例文・類語

きわめ‐ふだ きはめ‥【極札】

〘名〙 書画、古道具、刀剣などを鑑定して、それが確かなものであることを証明したもの。短冊(たんざく)形の小札に書きしるすのが普通であった。「極札がつく」などの形で、そのものが確かでまちがいのないものであることをいうのにも用いられる。鑑定書折紙。極書き。
※湯武論(1718)「『殷有三仁焉』と孔子のきはめ札を出して置れたれば」
[補注]その形式は様々で、題名筆者と鑑定者の署名および印章を記した小紙片を巻軸に貼付したもの、巻軸に貼らずに別に保存したもの(外題、極札)、外題より複雑な本文を書いて二つ折りにしたもの(折紙、添状)、作品の画面や巻末に書き込んだもの(紙中極、奥書)、箱の表裏に書き込んだもの(箱書付、箱書)などがある。

きめ‐ふだ【極札】

〘名〙 書画、刀剣などの鑑定書。短冊形の小さな札に、鑑定の結果をしるしたもの。
浮世草子・本朝藤陰比事(1709)六「極め札を望みければ、もとより正真雪舟なれば札を出し」

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デジタル大辞泉 「極札」の意味・読み・例文・類語

きわめ‐ふだ〔きはめ‐〕【極(め)札】

短冊形の札に記した、刀剣・書画などの鑑定書折り紙。極め書き。

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世界大百科事典(旧版)内の極札の言及

【極書】より

…〈極め〉とは鑑定の意であり,職業的鑑定家である古筆家が短冊形の小紙片(7×1.5cm)に〈熊野懐紙 後鳥羽院 印〉などと書く。これを極札(きわめふだ)という。16世紀の桃山文化華やかな時代に初代古筆家了佐が出現し,豊臣秀吉より〈古筆〉姓を賜り,印文〈琴山〉の印を使用した(古筆了佐)。…

【極付】より

…〈極札(きわめふだ)〉のついているという意味。したがって,証明つきの,定評あるという意味になり,歌舞伎では,ある俳優のほかにくらべるもののないほど安定した芸をさす用語になった。…

【古筆了佐】より

…江戸時代には幕府から屋敷を拝領し,当時の人々から〈古筆見〉と呼ばれた。依頼に応じて鑑定結果を記し,〈琴山〉印を押した短冊形の紙片は極札(きわめふだ)と呼ばれ,伝来や古筆の格付けを知る上で貴重なものである。しかし筆者の真偽の鑑定は,今日の方法とは異なっている。…

※「極札」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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