楯状地(たてじょうち)(読み)たてじょうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楯状地(たてじょうち)」の意味・わかりやすい解説

楯状地(たてじょうち)
たてじょうち

主として先カンブリア時代の基盤岩類が広く地表に分布する地域をいう。楯状地(じゅんじょうち)ともいう。地形的には一般に楯を伏せたように緩い凸面をなすため、この名がある。しかし、カナダ楯状地ハドソン湾が中心部を占め、逆に凹面をなす。

 楯状地は、一つの造山運動で形成されたものではなく、始生代と原生代の2地質区に大別される。前者は塩基性火山岩や花崗(かこう)岩からなるグリーンストーン・花崗岩地域と花崗岩質片麻(へんま)岩からなる高変成度地域とに分けられる。始生代区が安定化したのち、原生代前期および中期に造山運動がおこり(ハドソン造山およびグレンビル造山)、堆積(たいせき)物起源の変成岩や再変動を受けた始生代基盤からなる原生代区が付加した。すなわち、大陸は成長した。

 有名な楯状地としてはカナダ楯状地、バルト楯状地、アフリカ楯状地などがある。卓状地とともに安定陸塊を形成する。

岩松 暉]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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