森英恵(読み)モリハナエ

デジタル大辞泉 「森英恵」の意味・読み・例文・類語

もり‐はなえ〔‐はなヱ〕【森英恵】

[1926~2022]服飾デザイナー島根の生まれ。映画衣装を数多く手がけた後、海外進出ちょう図案を用いた作品などが評判となり、国際的に活躍した。バルセロナオリンピックでは、日本選手団の公式ユニホームを手がけた。平成8年(1996)文化勲章受章。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森英恵」の意味・わかりやすい解説

森英恵
もりはなえ

[生]1926.1.8. 島根,六日市
[没]2022.8.11. 東京
ファッションデザイナー。日本の伝統美を意識した洋服のデザイン,特にオートクチュールのデザインで,長きにわたり日本のファッション界を牽引した。
開業医の家に生まれ,1937年東京に転居し,1947年東京女子大学卒業。1948年森賢と結婚。ドレスメーカー女学院でファッションデザインを学び,1951年に新宿洋裁店「ひよしや」を開店。一方で,小津安二郎新藤兼人の作品など映画の衣装デザインを手がける。1965年にニューヨークで初の海外コレクションに参加し,1977年には東洋人として初めてパリ・オートクチュール組合に加盟,きもの地を使用したり日本の伝統柄をあしらったりしたイブニングドレスなどが「東洋と西洋の出合い」と形容され,高く評価された。蝶のモチーフをトレードマークに,鮮やかな色彩,優雅なシルエットの作品を得意とし,プレタポルテ部門でもブランド「ハナエモリ」を展開した。しかし,1990年代に多角経営に失敗し,2002年に民事再生法の適用を申請,プレタポルテ部門を売却した。2004年のオートクチュールコレクションの発表を最後に引退
モナコのグレース王妃ら著名人の衣装やオペラ,バレエの舞台衣装,日本航空の制服,1992年バルセロナ・オリンピック競技大会の日本選手団のユニフォーム,皇太子徳仁成婚の際の雅子妃の婚礼衣装を担当するなど幅広く活躍した。1986年経済同友会初の女性会員。1988年朝日賞受賞,紫綬褒章受章。1989年文化功労者選定。1996年文化勲章,2002年レジオン・ドヌール勲章オフィシエをそれぞれ受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「森英恵」の意味・わかりやすい解説

森英恵
もりはなえ
(1926―2022)

ファッション・デザイナー。島根県生まれ。1947年(昭和22)東京女子大学国文科卒業後、ドレスメーカー服装学院へ通い、1951年新宿に洋裁店ひよしやを開く。1954年日活映画の衣装を手がけ、以後7年間で500本以上の映画衣装を担当。1965年ニューヨークで初の海外コレクションを発表、欧米での活躍の第一歩となった。1977年日本人初のパリ・オートクチュール協会のメンバーとなる。バルセロナ、リレハンメル両オリンピックの日本チームのユニホームや雅子妃のローブ・デコルテのデザインを担当した。また、海外のオペラやバレエの舞台衣装も手がける等ファッション界の第一人者として国際舞台で活躍した。1978年森田たまパイオニア賞。1988年朝日賞受賞、紫綬褒章(しじゅほうしょう)受章。1989年(平成1)レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章受章、文化功労者。1996年文化勲章受章。2002年レジオン・ドヌール勲章オフィシエ章受章。2004年7月のパリ・コレクションを最後に引退。

[編集部]

『森英恵監修、吹田靖子編、篠山紀信・与田弘志写真『Hanae Mori style』(2001・講談社インターナショナル)』『森英恵著『あしたのデザイン』(新潮文庫)』『森英恵著『ファッション――蝶は国境をこえる』(岩波新書)』

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百科事典マイペディア 「森英恵」の意味・わかりやすい解説

森英恵【もりはなえ】

服飾デザイナー。島根県生れ。東京女子大学卒業後,杉野ドレスメーカー女学院をへて1951年東京・新宿に洋裁店〈ひよしや〉設立。1965年ニューヨークで初のショーを開催し日本人デザイナーの海外進出のきっかけとなった。1977年パリ・オートクチュール組合に日本人として初めて加盟。翌年ハナエ・モリ・インターナショナルを設立。伝統的な絹や日本を意識させる蝶のデザインで知られる。舞台衣装,ユニフォームなどのデザインでも活躍。1996年文化勲章受章。2004年6月,パリ・オートクチュール・コレクションから正式に引退。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森英恵」の解説

森英恵 もり-はなえ

1926- 昭和後期-平成時代の服飾デザイナー。
大正15年1月8日生まれ。結婚後に洋裁をまなび,昭和26年東京新宿に洋裁店「ひよしや」を開設,おおくの映画衣装も手がけた。40年ニューヨーク,52年パリに進出,日本人で初のパリのオートクチュール組合の会員になるなど,国際的に活躍。日本航空の制服やオペラ,バレエの衣装も担当。平成8年文化勲章。10年水戸市芸術振興財団理事長。島根県出身。東京女子大卒。

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