棄市(読み)きし

精選版 日本国語大辞典 「棄市」の意味・読み・例文・類語

き‐し【棄市】

〘名〙 中国、秦・漢時代の刑罰一種公衆面前斬罪に処し、その死体市中にさらすこと。→腰斬(ようざん)①。
仮名草子・棠陰比事物語(1624‐44)五「かの豪民は、棄市(キシ)のとがにをこなはれ」 〔史記‐秦始皇本紀〕

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デジタル大辞泉 「棄市」の意味・読み・例文・類語

き‐し【棄市】

古代中国の刑罰の一。公衆の面前で打ち首にして、その死体を市中にさらすこと。

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普及版 字通 「棄市」の読み・字形・画数・意味

【棄市】きし

死刑にしてその屍を市にさらす。〔史記、秦始皇紀〕敢て詩書を偶語するらば、市せん。古を以て今を非(そし)るは、族(滅)せん。

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改訂新版 世界大百科事典 「棄市」の意味・わかりやすい解説

棄市 (きし)
qì shì

中国,秦・漢時代の法律用語であり,斬首刑を意味する。衆人とともにこれを棄てるという意味をこめて市場において執行したのでこの名が生じた。当時の死刑は鉞(まさかり)をもって胴体を切断する要斬とこの棄市との2種類であり,要斬が重く棄市が軽いものとされていた。
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世界大百科事典(旧版)内の棄市の言及

【刑場】より

…現行法(刑法,刑事訴訟法,監獄法)の規定もこれと変わるところはない。【加藤 英明】
[中国]
 春秋時代,列国の都の市場は多くの人が集まる交易の中心であったが,同時に死刑を棄市(きし)と称したように,公開処刑の執行の場でもあった。焚(ふん)(火あぶり),磔(たく)(はりつけ),車裂(または轘(かん)),梟首などの極刑が古く行われた。…

【刑罰】より

…死刑の種類は,炮烙(ほうらく),焚(ふん)などの火刑をはじめ,烹(ほう)(かまゆで),車裂(また轘(かん)),支解(しかい)(四肢を断つ),腰斬(ようざん),磔(たく)(はりつけ),梟首(きようしゆ)(さらし首)など過酷なものも多い。棄市(きし)とは市場での公開処刑であり,また夷三族など親族まで死刑に処することもあった。五刑以外の身体刑として,鞭扑(べんぼく)(笞杖)刑もはやくから存在した。…

※「棄市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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