梵音(読み)ぼんおん

精選版 日本国語大辞典 「梵音」の意味・読み・例文・類語

ぼん‐おん【梵音】

〘名〙 (連声で「ぼんのん」とも)
① 仏語。大梵天王の発する清浄な声。また、仏の妙なる音声
往生要集(984‐985)大文二「梵音深妙 悦可衆心」 〔法華文句‐五上〕
法会作法である四箇の法要の一つ。「十方所有勝妙華」などの八句を清らかな音声で唱え、三宝に供養するもの。また、その役を行なう僧。
※小右記‐永延元年(987)四月二九日「聴衆廿人梵音十人錫仗十人」
読経の声。また、読経。
太平記(14C後)二四「梵音(ボンヲン)雲に悠揚す」 〔王勃‐遊梵宇覚寺詩〕
梵語の音。また、梵語。インドの言語。
十善法語(1775)八「これを聖者といふ、梵音には阿唎耶なり」

ぼん‐のん ‥オン【梵音】

〘名〙 (「ぼんおん」の連声) =ぼんおん(梵音)日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「梵音」の意味・読み・例文・類語

ぼん‐おん【×梵音】

連声れんじょうで「ぼんのん」とも》
梵天の王の声。五種清浄の音を発するという。また、仏の音声。
四箇しかの法要のとき、散華さんげののちに唱える偈頌げじゅ
読経の声。また、読経。
仏教音楽。特に、声楽
梵語発音。また、梵語。

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改訂新版 世界大百科事典 「梵音」の意味・わかりやすい解説

梵音 (ぼんのん)

声明曲(しようみようきよく)の曲名。《ばい)》《散花(さんげ)》《錫杖(しやくじよう)》とともに四箇法要(しかほうよう)を構成し,顕教立(けんぎようだて)の法要に用いられる。詞章は,妙花を散らして仏法僧に供養する意で,〈十方所有勝妙花〉で始まる七言4句を1段とし,2段から成る。各段の初句を梵音師が唱え,以下職衆(しきしゆう)全員で唱和し,所定文句で散花の花を散らす。曲の趣旨は《散花》と同じだが,《散花》にはたたえる対象の諸尊による異詞章があるのに,《梵音》はただひとつの詞章しかない。また《散花》が各種の法要に広く用いられるのに比べ,《梵音》は四箇法要以外にはほとんど用いられない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梵音」の意味・わかりやすい解説

梵音
ぼんのん

声明 (しょうみょう) の曲種。四箇法要の第3曲目で,散華ののちにうたわれる。浄音をもって諸仏菩薩を供養する意味で,『八十華厳経』のなかの文を用いる。

梵音
ぼんおん

梵音」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の梵音の言及

【吹打】より

…浙東鑼鼓,潮州大鑼鼓,山西八大套がとくに有名。細吹鑼鼓は小型の太鼓,旋律打楽器の雲鑼や木魚などに,笛,笙を主とし,諸行事,慶事,葬礼などや,仏教,道教の宗教音楽(江南で〈梵音〉という)として使われた。陝西鼓楽,蘇南吹打が代表的である。…

【四箇法要】より

…〈しかのほうよう〉とも読む。《(ばい)》《散花(さんげ)》《梵音(ぼんのん)》《錫杖(しやくじよう)》の四箇の声明曲(しようみようきよく)を具備した法要をさす。またこの4曲自体をさすこともあり,〈四箇法要付きの舎利講式〉というような言い方も行われる。…

※「梵音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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