梨本集(読み)ナシノモトシュウ

デジタル大辞泉 「梨本集」の意味・読み・例文・類語

なしのもとしゅう〔なしのもとシフ〕【梨本集】

江戸中期の歌論書。3巻。戸田茂睡著。元禄11年(1698)成立、同13年刊。多くの例歌から、二条派制詞・禁詞が根拠のないものであることを論証したもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梨本集」の意味・わかりやすい解説

梨本集
なしのもとしゅう

江戸時代中期の歌論書。戸田茂睡著。1巻。元禄 11 (1698) 年成立。「歌は大和言葉なれば人の言ふ程の詞を歌に読まずといふことなし」という観点から,在来の堂上歌学における制詞に対して批判したもの。「初五文字に置くべからずといふ詞」「終りに言ふまじき詞」「遠慮すべきといふ詞」「ぬしある詞といふ事」「詠むまじきといふ詞」の5項目を立て,各語についての制詞の根拠のないことを記す。伝統的な堂上歌学に対する和歌革新の一つの芽であったが,あだ花に終った感がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「梨本集」の解説

梨本集
なしもとしゅう

江戸中期,戸田茂睡の歌論書
1700年刊。3巻5冊。中世から近世にかけて行われた二条派歌学を批判し,古今伝授思想制禁の詞 (ことば) がいかに無意味かを論難・説明したもの。従来妄見を打破したことが功績と認められている。

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