(読み)フクロウ

デジタル大辞泉 「梟」の意味・読み・例文・類語

ふくろう〔ふくろふ〕【×梟】

フクロウ科の鳥。全長約50センチ、全身灰褐色。目が顔の前面に並び、くちばしは短く、かぎ状。夜、羽音をさせずに飛び、野ネズミやウサギなどを捕食する。ユーラシア温帯寒帯に広く分布。日本でも平地林にすむ。 冬》「―の来ぬ夜も長し猿の声/北枝」
フクロウフクロウ科の鳥のうち、頭に耳のような飾り羽をもつミミズクを除くものの総称。フクロウ・シロフクロウアオバズクなど。大部分は夜行性。
[補説]作品名別項。→
[類語]木菟みみずく木葉木菟このはずく

きょう【梟】[漢字項目]

[音]キョウ(ケウ)(呉)(漢) [訓]ふくろう
フクロウ。「鴟梟しきょう
たけだけしい。つよい。「梟悪梟将梟雄
さらし首にする。「梟首
難読梟帥たける

ふくろう【梟】[狂言・書名]

狂言。弟のようすがおかしいので、兄が山伏に加持を頼むが、祈るうちに弟にいていた梟が、兄や山伏にまで取り憑く。別名「梟山伏ふくろやまぶし」。
伊藤永之介の小説。昭和11年(1936)発表。東北農民の生活を描いた「鳥類もの」と称される作品の一つ

さけ【×梟】

フクロウ古名。〈和名抄

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精選版 日本国語大辞典 「梟」の意味・読み・例文・類語

ふくろう ふくろふ【梟】

[1] 〘名〙
① フクロウ科の鳥のうち、頭上に耳状の突き出した羽毛を持たないものの総称。ミミズクに対する語。ふくろ。《季・冬》
※大智度論平安初期点(850頃か)一六「蟻(あり)・螻(けら)・鵂(フクロフ)
② フクロウ科の鳥。全長約五〇センチメートル。頭部はきわめて大きく、顔はほぼ円形。頭上に耳状の羽はない。くちばしは短くて太い。顔は灰白色、背面・腹面はともに灰白色の地に褐色の縦斑がある。額と背の上方は褐色を帯びる。ユーラシア北部に広く分布し、南は四国、九州まで達する。昼は森林の木のこずえで眠り、夜活動してノネズミ・ウサギ・小鳥などを捕食。
[2] 狂言。各流。弟が山からもどって以来様子がおかしいので、兄が山伏に加持を頼む。ところが祈るうちに弟に取りついていた梟の精が兄に乗り移り、ついには山伏まで梟にとりつかれる。和泉・鷺流では「梟山伏(ふくろやまぶし)」という。

きょう‐・す ケウ‥【梟】

〘他サ変〙 首を獄門にさらす。さらし首にする。
扶桑略記(12C初)康平六年二月一六日「梟俘囚安倍貞任、同重任、散位藤井経清等三人首
※随筆・折たく柴の記(1716頃)下「其屍の首をきりて紀伊殿に渡され、その郷土に梟(けう)せられ」

ふくろ【梟】

〘名〙 =ふくろう(梟)(一)
※太平記(14C後)一三「古き梢の梟(フクロ)の声」

さけ【梟】

〘名〙 「ふくろう(梟)」の古名。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「梟」の意味・わかりやすい解説


ふくろう

狂言の曲名。山伏狂言。『梟(ふくろ)山伏』ともいう。兄は、弟の太郎のようすがおかしいので、日ごろ尊敬している山伏(シテ)に祈祷(きとう)を依頼する。山伏がもったいぶりながら祈祷を始めると、太郎は「ホホン」と奇妙な声をあげる。事情を聞くと、太郎は山で梟の巣を下ろしたという。山伏は、梟が憑(つ)いたものと判断し、印(いん)を結んでふたたび祈るが、兄にも伝染して同じ声をあげ始める。山伏の祈祷はいっこうに効験が現れず、ついには山伏自身にまで梟が移って「ホホン」と叫びだしてしまう。効力のない山伏の祈祷に対する風刺もうかがえるが、憑き物を表現するしぐさのおもしろさが、この曲のねらいである。

[林 和利]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「梟」の解説

梟 (フクロウ)

学名:Strix uralensis
動物。フクロウ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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