家庭医学館
「梅毒血清反応」の解説
ばいどくけっせいはんのう【梅毒血清反応】
血液を採取して調べる梅毒の検査を梅毒血清反応といい、①脂質抗原(ししつこうげん)を用いる方法と②トレポネーマパリダ抗原を用いる方法とがあります。
①の方法には補体結合反応(緒方(おがた)法、ワッセルマン法)と沈降(ちんこう)反応(ガラス板法、凝集(ぎょうしゅう)法)が、②には、血球(けっきゅう)凝集反応(TPHA)や蛍光抗体(けいこうこうたい)間接法(FTA)があります。
①は、梅毒以外の病気でも陽性になることがあって(生物学的偽陽性(ぎようせい))、梅毒かどうかを確実に診断することはできません。しかし、梅毒の病期や治療効果の判定に威力を発揮します。
②は、梅毒かどうかを確実に判定できますが、治療によって完治しているのに、陰性になりません。
このため、補体結合反応、沈降反応、TPHAの3つの検査を行なって、梅毒の診断、病期や治療効果の判定をしています。
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百科事典マイペディア
「梅毒血清反応」の意味・わかりやすい解説
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ばいどくけっせいはんのう【梅毒血清反応 serological tests for syphilis】
STSと略す。抗原抗体反応の原理を用いて被検者血清から脂質抗原に対する抗体(レアギン),または病原体のトレポネマ・パリズムTreponema pallidum(TPと略す),およびその構成成分に対する抗体を検出し,梅毒感染の有無の診断の助けとする検査法の総称。1901年,J.ボルデらは彼らが開発した補体結合反応の原理を用い,梅毒の診断を試みたが成功しなかった。05年E.ホフマンらによって病原体のトレポネマ・パリズムが発見されると,翌06年A.ワッサーマンらは,それを多く含むと思われた梅毒胎児肝臓の食塩水抽出液を抗原として,補体結合反応を行い,患者血中の抗体を検出してその診断に成功した。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の梅毒血清反応の言及
【性病】より
…潰瘍の表面をこすって刺激したあとに出てくる分泌液には多数の梅毒トレポネマが含まれていて,梅毒の感染源となる。硬いしこりの発生後1~2週間経過すると,鼠径部リンパ節が痛みもなくはれ(これを無痛性横痃(おうげん)という),梅毒血清反応が陽性となる。梅毒血清反応には,牛の心臓の脂質の主成分であるカルジオライピンを抗原とするガラス板法,RPRカード法,凝集法,緒方=ワッセルマン法と,梅毒トレポネマそのものを抗原とするTPHAとFTA‐ABSとがある。…
【梅毒】より
…陰部以外には口唇,口腔粘膜,乳房,指などに発生することがあり,これらを陰部外下疳extragenital chancreと呼ぶ。感染後4~6週には梅毒血清反応が陽性となる。このころには初期硬結または硬性下疳の発生した部位の所属リンパ節である鼠径部(そけいぶ)リンパ節が,片側または両側ともに痛みもなく,また化膿することもなくはれてくる。…
※「梅毒血清反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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