桂馬の高上がり(読み)けいまのたかあがり

精選版 日本国語大辞典 「桂馬の高上がり」の意味・読み・例文・類語

けいま【桂馬】 の=高上(たかあ)がり[=高飛(たかと)び]

① (後に「歩のえじき」と続けることが多い) 将棋をさすときに言う口遊び。桂馬はあまり進みすぎると、かえって歩(ふ)のえじきになってしまう。考えなしに飛び出すと、せっかくの有力な武器も弱いはずのものに取られてしまう。
談義本・風流志道軒伝(1763)一「今試に将棊の上手に採配とらせて軍させば、敵の龍馬踏殺、桂馬の高飛歩兵の餌食となるべし」
身分実力にふさわしくない高い地位に上ること、また、そのためにかえって苦しむことのたとえ。
※俳諧・懐子(1660)九「桟敷で見るや競馬(けいま)高上り〈作者不知〉」
読本・双蝶記(1813)一「桂馬(ケイマ)高上(タカアガ)りして家の鼠の歩(ふ)の餌食と成り果てられ」

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デジタル大辞泉 「桂馬の高上がり」の意味・読み・例文・類語

桂馬けいま高上たかあがり

《将棋で、桂馬が進みすぎるとに取られるところから》考えないままに飛び出すと、弱いはずのものにもしてやられることのたとえ。また、不相応の高い地位につくことのたとえ。
[類語]家賃が高い

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ことわざを知る辞典 「桂馬の高上がり」の解説

桂馬の高上がり

将棋で、後のことをよく考えずに桂馬が進みすぎると、簡単に敵に取られてしまう。転じて、身分や実力にふさわしくない高い地位に上ること、また、そのためにかえって苦しむことのたとえ。

[使用例] お上の手は左の金が右の方へおあがりになりましたから、桂馬の高上りは歩のえいじきという譬えの通りで桂馬を取りました[禽語楼小さん*落語・将棋の殿様|1889]

[解説] 「じき」と続けることもあります。将棋から生まれた表現で、いまも素人将棋ではよく耳にします。桂馬は、将棋の駒のなか唯一他の駒を飛び越して進むことができますが、後退することができず、動ける範囲がかぎられているので、最も弱い「歩」にとられることもあります。

〔異形〕桂馬の高飛び

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