朝日日本歴史人物事典 「桂文治(初代)」の解説
桂文治(初代)
生年:安永3(1774)
江戸後期の上方落語家。桂派の祖。出生地については摂州柴島(大阪市),京都,大和葛城などの諸説がある。京大坂にその評判が高くなったのは寛政6(1794)年前後,新町で落語を演じたころからで,やがて10年ごろ,坐摩神社境内に小屋を建てそこに移り,「道具鳴物入り芝居咄」を演じてこの道の名誉と賞された。上方落語「蛸芝居」「昆布巻芝居」などの作者といわれ,上方芝居噺の基礎を確立した。著書に咄本『臍の宿替』(1812,続帝国文庫『落語全集』)『大寄噺の尻馬』(天保年間刊)などがある。3代は上方と江戸に分かれ,上方文治は5代で絶えている。江戸文治は平成期の10代におよぶ。<参考文献>浜松歌国『摂陽奇観』(浪速叢書1~6巻),西沢一鳳『皇都午睡』(『新群書類従1』),前田勇『上方落語の歴史』,三升堂『落語系図』
(三田純市)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報