桂庵(読み)けいあん

精選版 日本国語大辞典 「桂庵」の意味・読み・例文・類語

けいあん【桂庵】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「桂庵」の意味・読み・例文・類語

けいあん【××庵/慶×庵/慶安】

縁談訴訟仲立ちをする人。また、雇い人奉公人斡旋あっせん職業とする人。口入れ屋
「銀子は或日また浅草の―を訪れた」〈秋声縮図
お世辞。追従ついしょう。また、それを言う人。
「―とりどり御機嫌伺ふ折節」〈浄・傾城酒呑童子
[補説]承応(1652~1655)のころ、江戸京橋の医者大和慶庵が縁談などを巧みに取りまとめたことによるという。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「桂庵」の意味・わかりやすい解説

桂庵【けいあん】

慶安,慶庵とも記。雇人周旋業,口入(くちいれ)屋。近世都市の発達に伴って発生,出稼(でかせぎ)奉公人身元保証や雇入先の斡旋(あっせん),後には遊郭の女の周旋も行った。語源は承応(じょうおう)(1652年―1655年)のころ江戸木挽町の医師大和慶安(庵)が縁談の仲介をして持参金を着服したのにちなむといわれる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桂庵」の意味・わかりやすい解説

桂庵
けいあん

慶庵,慶安とも書く。奉公人,雇い人,芸者などの周旋業者のこと。俗に「口入れ屋」ともいわれる。江戸時代承応の頃 (1650頃) ,江戸京橋の医師大和慶庵という者が縁談や奉公人の紹介をしたことに由来するといわれる。なお第2次世界大戦後日本では,民間業者による有料職業紹介は職業安定法によって規制され,特定の職業に限り,労働大臣の許可を受けた者だけができることになっていた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の桂庵の言及

【周旋屋】より

…また,より広く土地,建物などの売買の周旋をする業者も含めることができる。雇人の周旋業者は桂庵(けいあん),口入れ屋と通称されたほか,人宿(ひとやど),請宿(うけやど),人置(ひとおき),肝煎(きもいり)屋などとも呼んだ。近世初期以降,都市の発展にともなって出現したもので,とくに江戸に流入する多数の出稼ぎ奉公人に対し,その身元保証,雇入先の斡旋,そして,就職先がきまるまでの宿泊を行う必要があったことから必然的に発生したものと思われる。…

【職業紹介】より

…また学校の場合は,公共職業安定所の業務の一部を分担するという形で職業紹介を行うことができるようになっている(同法25条の3)。
[日本の職業紹介制度]
 日本の職業紹介事業は江戸時代から,肝煎(きもいり),口入屋,桂庵などと呼ばれる民間の営利事業として発達してきた。明治以降もこれらは存続したが,ややもすれば中間搾取,強制労働,人身売買等の弊害を伴っていた。…

【女衒】より

…芸娼妓周旋人のこと。遊女の周旋は中世では〈人買い〉がこれを行い,江戸時代には〈人買い〉〈口入れ〉〈桂(慶)庵(けいあん)〉などとよぶ周旋業者がこれを兼ねたが,とくに娼妓を周旋する者を関東では女衒と俗称することがあった。生業上,女の姿形を見ることから〈女見(じよけん)〉といい,それがなまったものというが,確証はない。…

【人宿】より

…江戸時代,男女奉公人の周旋を業としたもの。町奉行所などの記録や法令では人宿とあるが,一般には,けいあん,口入,口入人などとよばれていた。人宿の語の初見は1640年(寛永17)であるが,より以前から使用されていたと思われる。江戸では若党や徒士(かち),中間(ちゆうげん)などの武家奉公人を多数必要とし,人宿を仲介とする雇用先の大半は武家方であった。人宿は奉公人の身元保証人(請人)となって判賃(判銭)を取り,また奉公先を周旋して契約が成立すると周旋料(口入料,口銭)をうけた。…

【奉公人】より

… 武家奉公は中世の末期まで譜代奉公をもって本来の姿とした。しかし,近世に入るとそれは漸次人宿(ひとやど)(口入屋(くちいれや),桂庵(けいあん)),日用座(ひようざ)を通じて雇用される百姓,町人による給金めあての一季(いつき),半季の出替(でがわり)奉公や月雇(つきやとい),日雇へと移りかわっていった。江戸幕府は慶長(1596‐1615)のころから一季奉公をしきりと禁じ(これは一季奉公人の多くあったことを示すものであろう),軍役の確保のため譜代奉公の維持につとめた。…

※「桂庵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android