根無草(読み)ねなしぐさ

精選版 日本国語大辞典 「根無草」の意味・読み・例文・類語

ねなし‐ぐさ【根無草】

[1] 〘名〙
① 池などの水中にはえて、漂い浮いている草。また、根拠のない物事、根も葉もないうわさなどのたとえにいう。浮き草。《季・夏》
※静嘉堂文庫本千載(1187)雑中「明日知らぬ御室の岸のねなしぐさ何あだし世に生ひ始めけん〈小大進〉」
※浄瑠璃・義経新高館(1719)一「扨も九郎判官殿謀叛の企おはす由、市に街(ちまた)にとりどりに言ひふらしたる根無草(ネナシクサ)
② 住所、職業、考え方などに定まったところがないこと。また、あてもなく漂っているような生き方をしている者、はかない者としての人間を①にたとえていう。
林檎の下の顔(1971‐73)〈真継伸彦〉五「自己自身のうちに確固たる依りどころをもたぬ根なし草ではなかったのか」
植物ねなしかずら(根無葛)」の異名。〔本草和名(918頃)〕
④ 植物「おのまんねんぐさ(雄万年草)」の異名。〔大和本草(1709)〕
⑤ 植物「みせばや(見━)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
[2] (根無草・根南志具佐) 談義本。五巻五冊。天竺浪人平賀源内)作。宝暦一三年(一七六三)刊。市村座出勤の女形荻野八重桐隅田川での溺死事件をモデルに、地獄めぐり趣向をとり入れ、当時の遊里芝居のさまを中心に描写して世相をうがち、時に風刺した作品。世の好評を博し、明和六年(一七六九)には、「根無草後篇」五巻五冊を刊行している。

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デジタル大辞泉 「根無草」の意味・読み・例文・類語

ねなしぐさ【根無草/根南志具佐】[書名]

談義本。5巻。風来山人平賀源内)作。宝暦13年(1763)刊。女形の荻野八重桐の溺死事件を題材に、当時の世相を風刺したもの。「根無草後編」(5巻)は明和6年(1769)刊。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「根無草」の解説

根無草 (ネナシグサ)

植物。ヒルガオ科の一年生寄生植物,薬用植物ネナシカズラ別称

根無草 (ネナシグサ)

植物。ベンケイソウ科の多年草。メノマンネングサの別称

根無草 (ネナシグサ)

植物。ベンケイソウ科の多年草。オノマンネングサの別称

根無草 (ネナシグサ)

植物。ベンケイソウ科の多年草。ミセバヤの別称

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