根木(読み)ねっき

精選版 日本国語大辞典 「根木」の意味・読み・例文・類語

ねっ‐き【根木】

〘名〙 (「ねき(根木)」の変化した語) 子ども遊戯一つ。三〇~五〇センチメートルの先のとがった木の棒や、釘などを、交互に地面に投げて打ち込み、相手のものを打ち倒しながら自分のものが地面に立ったとき勝ちとするもの。また、それに用いる具。ねっきあそび。ねっきうち。ねがら。ねんがら。めっき。《季・冬》
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「冬となれば霜解けに地湿りて柔げば、根木(ネッキ)を闘はし」

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改訂新版 世界大百科事典 「根木」の意味・わかりやすい解説

根木 (ねっき)

地面に木の棒を打ち込み合う遊び。ナラクヌギ,梅などの堅木の枝で太さ3cmくらいのものを長さ30~40cmに切り,一端をとがらせたものを地面に打ちつけて立て,次の者はそれを打ち倒すようにする。倒せば自分のものとなる。地方によって〈ねんがら〉〈かいねん〉〈くいうち〉〈こばよ〉〈たっぺ〉〈てんが〉〈てんがら〉〈にっき〉〈ねっくい〉〈ぼううち〉などの名がある。木の枝のまたを短く切って残して鉤(かぎ)のようにした棒も使われ,柳田国男はこれは木の枝に対する信仰と関係があり,〈ねんがら〉の〈ねん〉は〈念〉ではないかといっている。古くは〈無木(むき)〉といい,《骨董集》では〈撃壌(げたうち)〉に同じとしている。これは中国に古くから伝わるもので,幅10cmほどの履(くつ)の形をした木片を立て,30歩ほど離れたところから同形のものを投げつけて倒す遊びである。《和訓栞》には〈ねんがら〉の名で釘を打ち立てる遊びとされ,また《長崎歳時記》には〈木ねん〉〈金ねん〉ともいい,金ねんは以前はあつらえたが近年は船釘を用いると記され,江戸時代末期には金属製のほうが好まれたことが知られる。のちには五寸釘を用いた〈釘打ち〉〈釘刺し〉と変形し,昭和前期までは盛んに行われた。
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