核磁気共鳴(読み)かくじききょうめい(英語表記)nuclear magnetic resonance

精選版 日本国語大辞典 「核磁気共鳴」の意味・読み・例文・類語

かくじき‐きょうめい【核磁気共鳴】

〘名〙 原子核の磁気エネルギーと電磁波の振動磁界の共鳴。物質構造の研究に利用されている。

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デジタル大辞泉 「核磁気共鳴」の意味・読み・例文・類語

かくじき‐きょうめい【核磁気共鳴】

磁気モーメントをもつ原子核磁場の中に入れ、特定の周波数電磁波を与えると、共鳴してその放射エネルギーを吸収する現象。結晶や分子の構造分析に、医学では断層撮影のMRI磁気共鳴映像法)などに利用。NMR(nuclear magnetic resonance)。

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改訂新版 世界大百科事典 「核磁気共鳴」の意味・わかりやすい解説

核磁気共鳴 (かくじききょうめい)
nuclear magnetic resonance

略称NMR(またはnmr)。核スピン共鳴nuclear spin resonanceともいう。原子核を構成する陽子,中性子の数がともに偶数である偶偶核ではスピンは0で磁気モーメント(核磁気モーメント)もないが,それ以外の奇奇核,奇偶核,偶奇核ではスピンと磁気モーメントをもつ。これらスピンと磁気モーメントをもつ核を静磁場内に置くと,磁場との相互作用でいくつかのエネルギー準位に分かれる。ここに外部からエネルギー準位間のエネルギー差に相当する周波数と同じ周波数の電磁波を照射すると,共鳴現象を起こし,電磁波のエネルギーの吸収が観測される(これを核磁気共鳴という)。吸収の起こる周波数や吸収の波形を調べると,原子の近くでの電子密度分布や結合状態を知ることができ,化学,生物学,物理学,医学などで広く利用されている。以下この現象を詳しく解説する。

強い磁場B(数千ガウス以上)に置かれると,陽子数,中性子数がともに偶数ではない核は磁石のようにふるまい,核磁気モーメントIはある許された方向にだけ配向する。1H核(プロトン)のようにI=1/2の核では,核磁気モーメントは磁場に平行(α状態)と逆平行(β状態)の二つの配向だけが許される(図1)。二つのエネルギー準位(ゼーマン準位という)の間のエネルギー差は

ここでγは核の磁石としての感度を表す磁気回転比で核の種類によって一定,hプランク定数である。⊿Eはきわめて小さく,0.002J/molのオーダーにすぎない。通常の条件すなわち熱平衡条件ではα状態にある核の数Nαとβ状態にある核の数Nβの比は

で表され,α状態にある核がわずかに多い。いま⊿Ehνに相当する電磁波νを照射すると,α状態の核は電磁エネルギーを吸収してβ状態に励起する。この現象が核磁気共鳴である。NMRは固体でも液体や溶液でも観測できるが,特別の測定条件を用いないと固体は数kHzにも及ぶ広い線幅のシグナルを示す(広幅NMR)。これに対して液体や溶液のシグナルは狭い線幅をもつ。

核が一定の静磁場B0の中に置かれたとき,式(1)によれば核の種類が同じであれば共鳴周波数νも同じはずである。しかし核のまわりの電子によって磁場から遮へいされるため,核が実際に感じる磁場はB0そのものではなく,それよりごくわずか小さい磁場Bである。この差B0Bを化学シフトchemical shiftという。NMRの有用性は,まさにこの化学シフトの存在にある。化学シフトは,その核の置かれた化学的・磁気的環境によって決まる。このため,原則として化学的に異なる環境にある核は異なる磁場を感じている。したがってNMRを起こさせる共鳴周波数は核により異なる。実際エチルアルコールCH3CH2OHのプロトンNMRのスペクトルには,3種のプロトンに対応した3本のシグナルが記録される(図2)。化学シフトを標準化するため,測定試料には基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を少量加える。問題のプロトンシグナルの共鳴周波数νとTMSの共鳴周波数νref の差⊿νは発振器の周波数の106分の1程度である。そこで,この比に106を乗じたものを化学シフトδと定義する。定義によりTMSはδ=0にシグナルをもつ。

 磁場の中のプロトンHAのエネルギー準位はさらに近傍の核(必ずしも同種の核とは限らない),たとえば隣の炭素原子に結合しているプロトンHBとの相互作用により,HAのエネルギー準位はそれぞれ二つに分裂する。選択律によって可能な四つの遷移のうち二つだけが許容されるので,結局HAは2本のシグナルを与える(図3)。HAとHBとの相互作用をスピン-スピン結合(単にスピン結合でもよい),2本のシグナルに対応する共鳴周波数の差をスピン結合定数Jといい,Hz単位で表す。化学シフトとスピン結合の大きな違いは,前者は静磁場に比例するが,後者は静磁場によらず一定であることである。あとで述べるように,化学シフト,スピン結合定数の測定は有機化合物の構造解析におおいに役立っている。

ある種の核が磁石として働く可能性を最初に指摘したのはW.パウリである(1924)。最初にNMR現象を観測したのは2人のアメリカの物理学者ブロッホF.BlochとパーセルE.M.Purcellであった(1945)。当時はNMRは原子核の磁気モーメントの精密測定法として考えられていた。しかしエチルアルコールなどにおいて化学シフトが観測されると,NMRの有機化学における大きな可能性が直ちに認識された。アメリカの小さな科学機器メーカーであるバリアン社は1961年,その第1号機NMR装置を市場に送った。その後シムコイルや試料の回転等の分解能向上法が考案され,実用的価値が高まった。61年バリアン社が発売したNMR装置A-60は専門家以外の人の操作が可能な装置の最初の例であり,これによってNMRは急速に普及し,また日本でも日本電子,日立製作所などがNMR装置の製造販売にふみきった。

NMRを観測するためには,原理的には静磁場をつくる強力な磁石,共鳴を起こさせる電磁波の発信機と受信機,スペクトルを展示または記録するためのオシロスコープまたはレコーダーがあればよい。エチルアルコールのプロトンNMRスペクトルの測定に際しては,外径5mmの試料管にエチルアルコール(必要があれば適当な溶媒も加える)を入れ,磁石のすき間に置き,試料中の各プロトンの共鳴周波数の範囲のラジオ波を順次試料に照射する。このときラジオ波周波数を固定し,電磁石に通ずる電流を連続的に微小変化させる磁場掃引方式と,磁場を固定しておき,ラジオ波を連続的に微小変化させる周波数掃引方式とがある。しかしこれだけでは磁場の不均一性その他の理由により,幅の広い(分解能の低い)信号しか得られない。分解能を高めるくふうとして,磁場の微小変化を補償するシム回路および試料を含む試料管を磁場の中で高速回転させる装置がついている。得られたスペクトルの線幅は著しく狭くなっているだけではなく,近くのプロトンとの相互作用によるシグナルの分裂が観測できるようになる。このようなスペクトルは高分解能NMRスペクトルと呼ばれる(図2-b)。

最も広く用いられているのはプロトンNMR(1H NMR)である。プロトンは,天然存在比も磁気回転比も大きくNMRの観測に適している。通常の有機化合物では化学シフトの範囲はδ=0~10であるが,電荷をもつ化学種ではこの範囲を超える。化学シフトの値は,問題のプロトンのまわりの環境,すなわち結合している炭素原子の混成,近傍の官能基の種類と数,立体効果などによって決まる。スピン結合による分裂は部分構造の推定に役立つ。等価な2個の水素に隣接したプロトン(たとえばCH3CH2OH)は強度比1:2:1の三重線に分裂するのに対して,等価な3個の水素に隣接するプロトン(たとえばCH3CH2OH)は強度比1:3:3:1の四重線に分裂する。したがって図2-bのスペクトルからエチル基の存在を容易に推定できる。またスピン結合定数の大きさは関連するプロトンの幾何学的関係にも依存する。たとえば-CH-CH-単位におけるスピン結合定数は2本のC-H結合のなす二面角の関数であり,近似的に

 J=A・cos2θ     ……(4)

で表される。式(4)または同等の内容をもつ式をカープラス式という。またプロトンNMRの場合,各ピークの曲線とベースラインが囲む面積(積分強度)はプロトン数に比例する。通常分光器には積分計が内蔵されているので積分強度を測定してスペクトル上に記録する(図2)。三つのピークの積分強度は1:2:3である。

炭素核はプロトンとともに有機化合物の最も重要な構成要素であるが,NMR核であるC-13核の天然存在比が1.108%と低いため,観測が著しく困難であった。しかし60年代後半にノイズデカップル法あるいはCAT(コンピューターによるシグナルの積算)などの手法が導入され,C-13 NMRが普及しはじめた。その有用性が認識されるにともない,その低感度を補うくふうがより強く望まれるようになった。60年代の終りに導入されたパルス・フーリエ変換法はその意味で画期的であった。この方法は,それまでの掃引(周波数または磁場を連続的に変化させる)の代りに,共鳴周波数の幅に相当する電磁波をすべて含むパルスを照射し,得られる時間領域スペクトルをフーリエ変換して周波数領域スペクトルを得るものである。パルス・フーリエ変換によるNMRいわゆるFT NMRの普及によって,C-13核やその他の核たとえばN-15,Si-29などのNMRの測定も可能となった。FT NMRの導入は,緩和時間など時間に関係するパラメーターの取得を可能にした。

 図5にはニコチンのC-13 NMRスペクトルを示す。通常は図5-aに示すように,13C核を観測しながらプロトンの共鳴周波数に相当するラジオ波を強く照射して,13C核と1H核との間のスピン結合を除く。この条件下では,化学的に異なる炭素は異なる位置に1本のシグナルを与える。図5-bは,プロトンを弱く照射することによって,13C核と直接結合した1H核とのスピン結合を弱く残したオフレゾナンスデカップリングスペクトルである。分裂パターンは1H NMRスペクトルの場合と同じである。分裂パターンから直接結合しているプロトンの数がわかるので,シグナルの帰属にきわめて便利である。

二つの核A,Xがスピン結合している場合,Xをその共鳴周波数をもつラジオ波で強く照射しながらAのNMRを観測すると,スピン結合が消失したシグナルが得られる。この現象をデカップリングという。エチルアルコールでメチル(CH3)プロトンを照射するとメチレン(CH2)プロトンは一重線となる。さらにメチレンプロトンのシグナルの積分強度が非照射のときの強度の最大1.5倍という。この強度の増加を核オーバーハウザー効果nuclear Overhauser effect(略称NOE)という。NOEは2本以上の結合をへだてていても空間的に近い核の間に起こるので,分子の立体構造の研究に用いられる。プロトンを照射しながらC-13 NMRを観測する場合,NOEは最大3となり,完全デカップリング条件での測定はその分だけ有利である。NOEの起りやすさは緩和(緩和現象)の機構にも影響される。共鳴条件下で励起した核は獲得したエネルギーを放出して基底状態に戻る(これを緩和という)。緩和には二つの経路がある。スピン-格子緩和(縦緩和ともいう)では,核は獲得したエネルギーを隣接核や溶媒など(これらを一括して格子という)に渡すのに対し,スピン-スピン緩和(横緩和ともいう)では,核は互いにエネルギーを交換することによって緩和する。どちらの緩和も一次反応であり,その速度定数の逆数を緩和時間と呼ぶ。スピン-格子緩和時間(T1)は化学構造だけではなく分子の運動状態に支配されるので,T1は溶液中の分子の並進・回転運動やセグメント運動に関する貴重な情報源となる。

FT NMRの普及と並行して装置およびソフトウェアの改良が70年代を通して積極的に進められた。たとえば,固体試料の高分解能スペクトルを測定するマジック角回転法が確立され,NMRの視野が著しく拡大した。プロトンやC-13以外の特殊な核(N-15,O-17,Na-23その他の金属など)のNMRの測定も可能になった。特筆すべきは超伝導磁石(SCM)をもつFT NMRの発達と普及である。従来用いられた電磁石または永久磁石では最高2.3×104ガウス程度の磁場をつくることができるだけであった。SCMでは,はるかに強い磁場がつくられ,11.74~14.09×104ガウス(プロトン換算で500~6000MHz)の装置もつくられている。二次元NMR(2D NMR)は,80年代に入って爆発的に発達したSCM NMR分光器と改良されたソフトウェアの組合せによる高度な構造解析法である。化学シフト,スピン結合,NOEなどの種々のNMR情報を二次元的に展開(図6)することによって,通常の測定(一次元NMR)では解析不能であった複雑な化合物の構造が明らかにされるようになった。

71年癌組織中の水の緩和時間が正常組織のそれより長いことが発見された。これが契機となってNMR映像法が開発された。NMR映像は,磁場焦点法もしくはズーマトグラフィーのどちらかの方法によって得られる。いずれも試料(たとえば人体の頭部)の局所または全体の中のプロトン,C-13,P-31,Na-23などのスピン密度,緩和時間などの情報を映像化する手法である。断層像を得るには0次元情報のスキャン,三次元フーリエ変換法など種々の方法がある。全身用NMR映像装置は,磁石のギャップが1m程度であるほかは高分解能NMR分光器と変わらない。磁場の強さは0.02~0.2×104ガウス(電磁石または永久磁石),それ以上(0.2~0.35×104ガウスくらい)のものはSCMを用いる。一般にNMR分光法はまったく非破壊的な方法であり,生物学・医学の分野に最も適した方法である。NMR映像法は,すでに研究から臨床の段階に入っており,新しい安全な診断法として普及しつつある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「核磁気共鳴」の意味・わかりやすい解説

核磁気共鳴
かくじききょうめい

原子核による磁気共鳴のこと。アメリカのラービが分子線による核磁気共鳴を最初に行った。1946年にブロックとパーセルによって、独立に、固体および液体についての核磁気共鳴が観測され、並行して統計熱力学的な理論も建てられ、物性物理学の一つの重要な分野となった。この業績により、1952年ブロックとパーセルにノーベル物理学賞が授与された。共鳴周波数は磁界の強さ、核の種類により、数メガヘルツから数百メガヘルツの範囲となる。以下、固体や液体についての核磁気共鳴について記す。

 電子による磁性をもたない物質中の原子核は、磁界が加えられたときには、それぞれの磁気量子数によって複数のレベルに分岐するが、熱平衡にある物質にあっては、これらのレベルのそれぞれを占める核の数は、ボルツマン統計に従ってのAのようにエネルギーの低いレベルほど多くなっており、磁化Mをもつ。この系に磁気共鳴を行わせると相隣るレベルの間に転移がおこるが、下方のレベルほど占有数が多いので転移のおこる数が多く、高周波の強度に従って、のBのように上下のレベルの占有数の差を少なくするような状態で平衡に達する。この状態では、電磁波の定常的な吸収がおこっている。この吸収を測定するのがパーセルの磁気共鳴の検出方法である。さらに強い高周波によって激しい転移をおこさせると、のCのように、上下のレベルを占める数が同じになってしまう(磁化はゼロになる)。この状態では転移はおこっても占有数の変化はなく、電波の吸収もなくなる(飽和)。いま、BとかCの状態のもとで高周波を切ると、系はふたたび元の熱平衡状態のD(Aと同じ)に、時定数(じていすう)T1をもつ指数関数的に戻っていく。このT1をスピン格子(こうし)緩和時間という。なお、吸収と同時に分散現象も生ずるので、その測定から磁気共鳴を観測することもできる(ブロックの検出方法)。また、物質中には核は多く含まれており、それらの間に磁気双極子相互作用があるので、それぞれの磁気レベルは幅をもっており、この幅は共鳴線の幅に寄与する。この幅を時間に変換したときの時定数をスピン・スピン緩和時間T2という。

 電子による磁化のない物質においても、反磁性的な性質はもっているので、磁界がかけられたときには、核の位置にごく微細な影響を及ぼし、共鳴周波数が少し変化する。これはその核を取り囲む分子の構造に依存するので、このわずかな変化を化学シフトという。T1T2、化学シフトは、物質の構造、状態に大いに依存するものであるので、これらの測定から多くの物性的情報が得られ、核磁気共鳴が物性研究の一つの手段として重要なものとなった。当初は前述のように、連続した高周波で観測していたが、1950年代になって高周波パルスを用いる方法(スピン・エコー)が開発され、現在ではこれが主流となっている。

 前述の磁気双極子相互作用は液体中においては分子の速い運動で平均化され、共鳴線の幅はたいへん狭いものとなる。したがって、異なる構造の有機物の共鳴はお互いに分離して観測できる。これを利用して、有機化合物の構造解析用の装置も早くから開発されている。さらに物体の各部各部の共鳴の強度を測定し、コンピュータ・グラフィクスの手法を用いて画像化すると、対象としている核の分布を目の当たりにすることができるようになり、これを利用して医学的な診断に用いる装置(MRI)が1990年代になって急速に進歩し、医療機関には必須(ひっす)のものとなった。このMRIの原理の発見に対して、2003年のノーベル医学生理学賞が、ラウターバーとマンスフィールドに与えられた。

[伊藤順吉]

『益田義賀著『核磁気共鳴の基礎』(1985・丸善)』『荒田洋治著『NMRの書』(2000・丸善)』『安岡弘志著『岩波講座 物理の世界 ものを見るとらえる3 核磁気共鳴技術』(2002・岩波書店)』『阿久津秀雄・嶋田一夫・鈴木栄一郎・西村善文編『日本分光学会測定法シリーズ41 NMR分光法――原理から応用まで』(2003・学会出版センター)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「核磁気共鳴」の意味・わかりやすい解説

核磁気共鳴
かくじききょうめい
nuclear magnetic resonance

原子核の核スピン共鳴で,通常は,NMRと略称される。この原理は静磁場中に置かれた核スピンのゼーマン効果によって分裂したエネルギー準位の差に相当するエネルギーをもつ電磁波を加え,その吸収を測定するもので,これは複素磁化率の虚数部の測定にあたる。電磁波の周波数,または磁場の大きさを連続的に変化させたときの吸収の位置 (化学シフト) ,吸収の形,幅,強度などにより,核スピンの置かれている環境の推定,さらに核スピンが含まれる物質の構造などを推定することができる。また核磁気誘導,スピンエコー,二重共鳴 (エンドール) ,あるいは分子線磁気共鳴,原子線磁気共鳴など,種々の物質の状態に関してさまざまな推定方法がある。

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化学辞典 第2版 「核磁気共鳴」の解説

核磁気共鳴
カクジキキョウメイ
nuclear magnetic resonance

略称NMR.磁気共鳴分光法の一つ.静磁界中でゼーマン分裂した核スピンの準位間の遷移が,分裂のエネルギー間隔に対応する振動数の電磁波によって共鳴的に起こる現象で,核磁気共鳴吸収,核磁気誘導,スピンエコーなどの方法によって観測される.核磁気共鳴の研究は,共鳴周波数のずれから原子核の周囲の電子の状態を知ったり,共鳴の幅から原子拡散,分子回転の様子を知ることなどに利用される.[別用語参照]化学シフト

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百科事典マイペディア 「核磁気共鳴」の意味・わかりやすい解説

核磁気共鳴【かくじききょうめい】

磁気共鳴

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世界大百科事典(旧版)内の核磁気共鳴の言及

【化学】より

…近年の高分解能質量分析器は原子質量単位でppmのオーダーの感度をもち,元素分析法の一つとしても利用されている。核磁気共鳴は,もともと核の磁気モーメント測定手段として,ブロッホFelix Bloch(1905‐82)とパーセルEdwards Miles Purcell(1912‐97)によって独立に考案された。しかし共鳴周波数は核の種類だけではなく,その化学的環境にも依存すること(化学シフト)が発見されて以来,核磁気共鳴は化学者によって貪欲に開発された。…

※「核磁気共鳴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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