株仲間解散令(読み)かぶなかまかいさんれい

山川 日本史小辞典 改訂新版 「株仲間解散令」の解説

株仲間解散令
かぶなかまかいさんれい

天保改革で,株仲間・問屋組合解散を命じた幕府法令。幕府は株仲間の独占権が物価騰貴の原因であるという認識から,1841年(天保12)に江戸十組問屋仲間を解散させ,翌年3月には,全国の商人職人に対して適用した。これにより冥加金(みょうがきん)や無代納物・無賃人足などは免除されたが,営業上の独占が排され,新たに仲間・組合を結成したり問屋と称することも禁じられて,素人直売買など自由な取引が奨励された。その結果,流通上の混乱招き,かえって物価が高騰したため,51年(嘉永4)再興令が出された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の株仲間解散令の言及

【株仲間】より

…大坂においても,菜種,繰綿などの流通をめぐり,畿内農村と都市問屋が対立し,23年(文政6)には摂津・河内1007ヵ村が訴訟するなど,国訴(こくそ)と呼ばれるほどの広汎な動きをみせた。
[解散と再興]
 1841年(天保12)に幕府は天保改革の一環として,株仲間解散令を発した。江戸菱垣廻船積問屋をはじめとし,すべて問屋,仲間,組合などと唱えることをいっさい禁止したのである。…

【天保改革】より

… 飢饉以来騰貴を続けた物価を引き下げることは改革の重要課題であった。幕府は,物価騰貴の根本原因を当時の商品流通の機構,つまり十組(とくみ)問屋仲間の流通独占にあると考え,41年12月に株仲間解散令を発し,江戸の十組問屋や三都の問屋・株仲間の名称による商取引をいっさい禁止して,一般の商人の自由な取引を許した。商人相互の自由競争によって商品流通量が増加し,物価は下がるであろうとの期待にもとづいたものであるが,実際には従来の流通機構が解体した結果,商品が江戸・大坂に集中せず,意図した効果をあげることができなかった。…

※「株仲間解散令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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