栗色土(読み)クリイロド(英語表記)chestnut soils

デジタル大辞泉 「栗色土」の意味・読み・例文・類語

くりいろ‐ど【×栗色土】

温帯の、半乾性草原に発達する土壌。上層は栗色、下層は褐色で柱状構造が発達し、炭酸石灰集積する。

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精選版 日本国語大辞典 「栗色土」の意味・読み・例文・類語

くりいろ‐ど【栗色土】

〘名〙 土壌型の一つ。ユーラシア黒土地帯の南東部、中国東北、内蒙古地方などの乾地性草原に発達する半乾性土壌。表土は栗色。腐植質の量が少なく、弱アルカリ性で表層炭酸塩が多少集積する。

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改訂新版 世界大百科事典 「栗色土」の意味・わかりやすい解説

栗色土 (くりいろど)
chestnut soils

温帯の乾燥草原気候下に生成する成帯性土壌型の一つ。カスタノーゼムともいう。ユーラシアの黒土地帯の南東部,モンゴル,中国東北部,北アメリカの中部に広く分布する。黒土地帯よりも降水量が少ないのでハネガヤ,ウシノケグサ,ヨモギなどの短茎草本類しか生育できず,しかも温暖湿潤な春には植物遺体の分解が進行するので腐植の集積量は少ない。深さ35~40cmまでの表層(A層)は腐植を2.5~4.5%含み,熟した栗の果皮のような色を示す。その下方には乾燥すると垂直な割れ目ができる黄褐色の炭酸カルシウムの集積層(Bca層)がつづき,さらに80~90cmからセッコウ集積層(Bcs層)に移り変わる。表層はナトリウムイオンNa⁺のため強アルカリ性を示す場合が多い。暗栗色土,栗色土,淡栗色土の3亜型に細分される。肥沃度がかなり高いため,暗栗色土は無灌漑で農業に利用されるが,栗色土や淡栗色土は灌漑を必要とする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「栗色土」の意味・わかりやすい解説

栗色土
くりいろど

若干の腐植分を含んで灰褐色を呈する表土をもち、チェルノゼム地帯に隣接して大陸内部の乾燥地に生成する成帯性土壌(気候型土壌)の一種。年降水量250~400ミリメートルの範囲に分布し、短茎草本類(まばらなステップ)に対応している。石灰集積作用が働き、表層内に炭酸石灰の白色塊状集積物が生じている。反応は中性で無機植物養分に富んでいるが、有機物含量が少ないことと、干魃(かんばつ)を受けやすい地帯にあるために、土地生産性はチェルノゼムよりかなり低い。

[浅海重夫・渡邊眞紀子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栗色土」の意味・わかりやすい解説

栗色土
くりいろど
chestnut soil

ステップ気候地域を中心に分布する成帯土壌の一種。ステップ性草原での石灰集積(石灰石)作用を受けた一群の土壌型に属し,チェルノゼムの地域よりも降雨が少なく,灰色土(砂漠土の一種)の地域より雨の降るところに生じている。ステップのもとに若干の腐植が蓄積して栗色を呈する A層と,炭酸カルシウム炭酸マグネシウムなどの集積からなる B層が特徴的で,内陸アジアでは肥沃な耕地土壌として利用されているが,降水量の安定しない半乾燥地であるので干魃のおそれが多い。

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百科事典マイペディア 「栗色土」の意味・わかりやすい解説

栗色土【くりいろど】

温帯の乾燥したステップの短茎草本下に分布する土壌型。ある程度発達した栗色の腐植層と,褐色で柱状の構造が発達した下層土からなり,深さ30〜40cm以下には炭酸塩が集積。下層土上部はしばしばナトリウムイオンで飽和され強アルカリ性になる。

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岩石学辞典 「栗色土」の解説

栗色土

赤褐色または褐色の土壌で,短い草原地域のチェルノゼム地帯の乾燥地に形成される.炭酸塩の層準はチェルノゼム土壌に近く30~40cmで,石膏が存在する.有機物量は低く2.5~4.5%である.温帯の半乾燥性草原(年降水量250~350mm)の短草植性下に発達する成帯土壌で,チェルノゼムや褐色土の中間に分布する[Glinka : 1914, Ollier : 1969, 木村ほか : 1973].ハイポヒリック土壌(hypohyric soils)[Robinson : 1924].

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世界大百科事典(旧版)内の栗色土の言及

【土壌型】より

…カナダのアルバータやサスカチェワン地方に分布するGray Wooded soilは灰色森林土と厳密には同じではないが,きわめて類似した土壌である。チェルノーゼム帯の南方,ハネガヤ類・ウシノケグサ類・ヨモギ類などの短茎草本類からなる乾燥ステップ(年降水量250~300mm)には,熟したクリの実のような色をもち,地表近くから炭酸カルシウムやセッコウの集積がみられる栗色土が生成している。その南方の半砂漠(年降水量150~200mm)ではアルカリ性を呈する褐色半砂漠土に移り変わっている。…

※「栗色土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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