柿渋(読み)カキシブ

デジタル大辞泉 「柿渋」の意味・読み・例文・類語

かき‐しぶ【柿渋】

渋柿の青い果実からしぼりとった液。赤褐色で、防腐防水剤として紙・木などに塗る。また、その色。 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「柿渋」の意味・読み・例文・類語

かき‐しぶ【柿渋】

〘名〙 渋柿から搾り取った汁。最初に採取したものを一番渋または生渋(きしぶ)、そのかすに水を加えて搾ったものを二番渋という。紙、木、麻などの防腐剤
※山科家礼記‐康正三年(1457)八月三日「野村よりかきしふのかき上候也」

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改訂新版 世界大百科事典 「柿渋」の意味・わかりやすい解説

柿渋 (かきしぶ)

渋柿から得られる防腐性の液で塗料染料に用いられる。製法渋みの強い柿を臼でつき,それを樽詰めにして,冷暗所に蓋をして静置すると,発酵し泡立つ。2昼夜をへて圧搾ろ過する。ろ液は〈生渋〉といい,さらにこれを静置して得たうわずみ液が〈一番渋〉で,最上品とされる。次に,生渋の搾りかすに水を加え,再発酵させて搾り〈二番渋〉を取る。

紙類に塗布し風乾させると防腐性と硬度を増し,紙衣(かみこ),紙布がつくられる。家具類には漆下地として用いる。染料としては金属塩で媒染し風乾させた布地を,水でうすめた柿渋の液中に浸して染色する。柿渋中に含有するシブオールshibuolによる防腐性と,タンニンによる収れん性の相乗効果は古くから注目され,渋糸として漁網釣糸に用いられ,友禅や小紋などの型紙に利用された。
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世界大百科事典(旧版)内の柿渋の言及

【カキ(柿)】より

…果肉の品質や甘みの点では,むしろ渋柿のほうにすぐれたものが多い。
[利用]
 柿渋は,未熟の小型渋柿を破砕,搾汁,発酵させて上澄みをとった,淡赤褐色半透明の液体である。特有の香りがあり,昔は傘,渋紙など防水防腐に用いられたが,現今はおもに日本酒製造時の清澄剤として重要である。…

【タンニン】より

…木部起源のタンニンとしては南アメリカ産のケブラコquebracho(ウルシ科)が日本では使われている。柿渋タンニンはカキの実からとったもので,渋紙の製造,染料などとして使われている。木の実のタンニンとしては,ほかにジビジビdivi‐divi(マメ科),ミロバランmyrobalan(シクンシ科)がある。…

※「柿渋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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