柿本豊次(読み)かきもととよじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柿本豊次」の意味・わかりやすい解説

柿本豊次
かきもととよじ

[生]1893.7.4. 石川金沢
[没]1989.12.30. 東京,杉並
金春流太鼓方能楽師。出身地の金沢で安井三治の手ほどきを受け,1914年『小鍛冶』で初舞台。1916年に上京,21世金春惣右衛門(国泰)に師事。1928年『道成寺』を初演。1965年度芸術選奨文部大臣賞。1968年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定薬剤師免許をもち,薬局を営みながら芸道に精進した。(→

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「柿本豊次」の解説

柿本豊次 かきもと-とよじ

1893-1989 大正-昭和時代の能楽師太鼓方。
明治26年7月4日生まれ。金春(こんぱる)流。薬剤師として生計をたてながら21代宗家金春惣右衛門(そうえもん)に入門。「姨捨(おばすて)」「朝長(ともなが)」などの秘曲大曲を手がけ,堅実かつ華麗な桴(ばち)さばきをみせた。昭和43年人間国宝。平成元年12月30日死去。96歳。石川県出身。明治薬学校(現明治薬大)卒。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柿本豊次」の意味・わかりやすい解説

柿本豊次
かきもととよじ
(1893―1989)

能楽師。金春流(こんぱるりゅう)太鼓方。金沢市生まれ。初め同地で安井三治の手ほどきを受け、1916年(大正5)に上京して、宗家21世金春林太郎(のち惣右衛門国泰(そうえもんくにやす))に師事。薬剤師を勤めながら苦労して修業、重厚しかも華麗な芸風をもって太鼓方の第一人者となり、68年(昭和43)重要無形文化財各個指定(人間国宝)の認定を受けた。

[小林 責]

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世界大百科事典(旧版)内の柿本豊次の言及

【金春流】より

…現家元の22世金春惣右衛門国長(1924‐ )は増見家(熊本の役者)から入って1916年に家元を継いだ国泰(1897‐1942)の子。83年現在,能楽協会には重要無形文化財各個指定(人間国宝)の柿本豊次(1893‐ )ほか約20名が登録されている。芸風は,もとは武骨な激しい流風だったらしいが,艶のある繊細な芸風の先代21世惣右衛門の改革で柔らかみが加わり,桴(ばち)扱いも近代風の軽快なものになったといわれる。…

※「柿本豊次」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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