柿山伏(読み)カキヤマブシ

デジタル大辞泉 「柿山伏」の意味・読み・例文・類語

かきやまぶし【柿山伏】

狂言山伏が柿を盗み食いしているのを持ち主に見つかり、さんざんなぶられたあげく、とびのまねをして木から飛び降り、腰をしたたかに打つ。

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精選版 日本国語大辞典 「柿山伏」の意味・読み・例文・類語

かき‐やまぶし【柿山伏】

[1] 〘名〙 山伏をあざけっていうことば
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)二「この山臥殿は、柿(カキ)山臥歟、蟹山臥か、しからずは祇園愛宕木屑(こけら)山臥か、いざしらず」
[2] 狂言。各流。山伏が柿を盗み食いしているところを柿主に見つかってなぶられ、ついには鳶(とび)のまねをして木から飛びおり、腰を強く打つ。

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日本歴史地名大系 「柿山伏」の解説

柿山伏
かきやまぶし

[現在地名]姫路市柿山伏

姫路城の西、薬師やくし山の東に位置する武家町。農人のうにん町・景福寺前けいふくじまえの西に続く。播磨府中めぐり(智恵袋)に願道寺(現在の西新町)の「半丁北に高井といふ里あり、十軒斗、其北ハ小部山といふ、富岡長者の所也、此所に西光寺といふ寺在し、今形斗、墓所とある」と記されるのは当地辺りの様子である。播磨国衙巡行考証(同書)に「中村といふ処ハ此福中氏が居の西、下中村といひて、北のかミは西光寺を東へ総社今の社西の方迄、城の南下皆中村の地」とあり、西光寺は当町辺りの富岡長者跡が嘉吉年間(一四四一―四四)頃祐快の寺地になったといい、「長者屋敷東へつゝき、岩崎に西光寺有、三間堂也。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柿山伏」の意味・わかりやすい解説

柿山伏
かきやまぶし

狂言の曲名。山伏狂言。修行を終えた山伏(シテ)が帰国途中路傍の柿の木に登り、柿を食べ始める。見回りにきた柿の木の主がこれをみつけ、山伏が柿の木の陰に隠れるので、なぶってやろうと、人かと思ったらカラスだ、犬だ、いやサルだといってそれぞれの物まねをさせたあげく、トビだという。山伏はトビの鳴き声を強いられたうえ、「飛ぼうぞよ……」と囃(はや)されて柿の木から飛び降り、腰をしたたかに打つ。かまわずに帰ろうとした柿主は、山伏の法力に引き戻されるふりをし、いったん背負った山伏をすぐに投げ倒して去って行く。動物の物まねと、囃(はや)しにのせられて飛ぶところが見どころ。

[林 和利]

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