柵・笧(読み)しがらむ

精選版 日本国語大辞典 「柵・笧」の意味・読み・例文・類語

しがら・む【柵・笧】

[1] 〘他マ四〙
① からみつける。まといつける。からませる。
貫之集(945頃)三「山遠き宿ならなくに秋萩をしがらん鹿の鳴きも来ぬかな」
② しがらみを設ける。しがらみを設けて、水流などをせき止める。
狭衣物語(1069‐77頃か)二「涙川流るる跡はそれながらしがらみとむる面影ぞなき」
③ さえぎり止める。防ぎとめる。
浄瑠璃十二段(1698頃)三「ひめ君も思ひ川、したゆくみづとかよへ共、さすが人目のしがらみて」
[2] 〘自マ五(四)〙 からみつく。からまる。もつれる。かかわりをもつ。
御伽草子・さいき(室町末)「うらみんとすれどもかれがれの、かづらばかりぞ身にそひて、しがらむいまのわが心、せめておもひもなぐさむと」
其面影(1906)〈二葉亭四迷〉五「友禅メリンス袖口の柵(シガ)らむ繊弱(きゃしゃ)な手を突き」

しがらみ【柵・笧】

〘名〙 (動詞「しがらむ(柵)」の連用形の名詞化)
① 水流をせき止めるために、川の中に杭(くい)を打ち並べて、その両側から柴(しば)や竹などをからみつけたもの。しがら。
万葉(8C後)二・一九七「明日香川四我良美(シガラミ)渡し塞(せ)かませば流るる水ものどにかあらまし
平家(13C前)七「二の河の落ちあひに大木をきってさかもぎにひき、しがらみを夥しうかきあげたれば」
物事をせき止めるもの。引き止めるもの。まとわりついて身を束縛するもの。
源氏(1001‐14頃)幻「よろしう思はんことにてだに、涙とまるまじきを、まして、袖のしがらみせきあへぬまで〈略〉尽きせず思ひ聞こゆ」
※われら戦友たち(1973)〈柴田翔〉四「人間同士が抜きさしならずにからみ合うしがらみの世界

しがら【柵・笧】

〘名〙 =しがらみ(柵)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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