柳家 小さん(5代目)(読み)ヤナギヤ コサン

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「柳家 小さん(5代目)」の解説

柳家 小さん(5代目)
ヤナギヤ コサン


職業
落語

肩書
落語協会会長 重要無形文化財保持者(古典落語)〔平成7年〕

本名
小林 盛夫(コバヤシ モリオ)

別名
前名=柳家 栗之助,柳家 小きん,柳家 小三治(9代目)(ヤナギヤ コサンジ)

生年月日
大正4年 1月2日

出生地
長野県 長野市

出身地
東京市 浅草区(東京都 台東区)

学歴
東京市立商夜間部中退

経歴
大正7年東京・浅草に移住。弁護士事務所の給仕をしながら夜学に通う中で落語家を志し、昭和8年4代目柳家小さんに入門、栗之助を名乗る。11年応召して二等兵となるが、所属していた麻布三連隊が2.26事件の決起部隊に組み込まれるという経験をする。14年小きんで二ツ目に進み、2代目三遊亭歌笑、4代目柳亭痴楽らと若手のホープと目されたが、18年再び召集され、仏印終戦を迎えた。21年復員。22年9代目柳家小三治として真打ち昇進するが間もなく師が急逝、8代目桂文楽の預かり弟子となり、25年5代目小さんを襲名。表情豊かな明るい芸風で、正統派の落とし噺を貫き、多くの落語を習った7代目三笑亭可楽を通じて、滑稽噺の名人といわれた3代目小さんの芸風を継ぐと評された。中でも「粗忽長屋」「長屋花見」など長屋噺に定評があり、また「時そば」でのそばのすすり方や「試し酒」での酒の飲み方など、その真に迫った仕草は絶品として知られた。落語以外にも「百面相」といった珍芸も演じた。8代目文楽、5代目古今亭志ん生、6代目三遊亭円生、8代目林家正蔵と並ぶ昭和落語界の大看板として活躍、平成7年には落語家初の人間国宝となった。門下からは立川談志、10代目柳家小三治らを輩出長男の6代目柳家小さん、孫の柳家花緑も落語家として活躍する。他の得意演目に「笠碁」「らくだ」「宿屋の富」「親子酒」「禁酒番屋」「お神酒徳利」「御慶」「かぼちゃ屋」「猫久」「うどん屋」などがある。昭和47年からは落語協会会長を務め、協会の改革に尽くしたが、53年真打ちの大量昇進や昇進試験などの問題で前会長であった6代目円生と対立して円生一門の脱退を招き、58年には愛弟子であった談志とも真打ち制度をめぐって衝突し、談志一門の離脱騒動が起こった。平成8年退任、最高顧問。

受賞
紫綬褒章〔昭和55年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和60年〕 芸術祭賞奨励賞〔昭和37年・42年〕,日本放送演芸大賞(功労賞 第12回)〔昭和58年〕,東京都民文化栄誉章〔昭和59年〕,日本酒大賞〔昭和61年〕,NHK放送文化賞(第38回)〔昭和62年〕,浅草芸能大賞〔平成2年〕,伝統文化ポーラ賞(大賞 第13回)〔平成5年〕,豊島区名誉区民〔平成7年〕,東京都名誉都民〔平成11年〕

没年月日
平成14年 5月16日 (2002年)

家族
長男=柳家 小さん(6代目),孫=小林 十市(バレエダンサー),柳家 花緑(落語家)

伝記
落語のこと少し落語大看板列伝―枝雀・文治・柳昇・馬生・小さん談志 最後の落語論噺家ライバル物語談志絶倒 昭和落語家伝噺家渡世―扇橋百景師匠噺小さんの娘 ハッピー出もどりこんな落語家(はなしか)がいた―戦中・戦後の演芸視花緑の落語江戸ものがたり―師匠小さんの想い出とたどる咄も剣も自然体昭和・平成タレント太平記―私をトリコにした男たち貞丈のお笑い芸界銘々伝浅草のひと―久保田万太郎から渥美清まで五代目小さんの昔ばなし寄席放浪記―なつかしい芸人たち 矢野 誠一 著落語ファン倶楽部 編立川 談志 著大友 浩 著立川 談志 著,田島 謹之助 写真入船亭 扇橋 著,長井 好弘 編浜 美雪 著小林 喜美子 著小島 貞二 著柳家 花緑,小野 幸恵 著柳家 小さん 著林家 木久蔵 著一龍斎 貞丈 著鈴木 としお 著柳家 小さん,川戸 貞吉 著色川 武大 著(発行元 岩波書店白夜書房梧桐書院ソフトバンククリエイティブ大和書房うなぎ書房河出書房新社ぴあうなぎ書房近代映画社東京新聞出版局学習研究社日本デザインクリエーターズカンパニー東京新聞出版局冬青社廣済堂出版 ’09’09’09’08’07’07’07’05’03’03’94’91’90’89’88’88発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「柳家 小さん(5代目)」の解説

柳家 小さん(5代目)
ヤナギヤ コサン

昭和・平成期の落語家 元・落語協会会長。



生年
大正4(1915)年1月2日

没年
平成14(2002)年5月16日

出生地
長野県長野市

出身地
東京市浅草区(現・東京都台東区)

本名
小林 盛夫

別名
前名=柳家 小三治(9代目)(ヤナギヤ コサンジ)

学歴〔年〕
東京市立商夜間部中退

主な受賞名〔年〕
芸術祭賞奨励賞〔昭和37年・42年〕,紫綬褒章〔昭和55年〕,日本放送演芸大賞(功労賞 第12回)〔昭和58年〕,都民文化栄誉章〔昭和59年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和60年〕,日本酒大賞〔昭和61年〕,NHK放送文化賞(第38回)〔昭和62年〕,浅草芸能大賞〔平成2年〕,伝統文化ポーラ賞(大賞 第13回)〔平成5年〕,豊島区名誉区民〔平成7年〕,東京都名誉都民〔平成11年〕

経歴
昭和8年4代目小さんに入門、栗之助を名乗る。11年麻布三連隊に召集され、2.26事件では二等兵として反乱部隊に。14年小きんで二ツ目に昇進。18年再び召集され仏印に駐屯、21年復員した。22年小三治で真打ちに昇進。25年5代目小さんを襲名。47年〜平成8年落語協会会長を務めた。7年落語家初の人間国宝に。明るい芸風で、得意演目は「粗忽長屋」「長屋の花見」「時そば」「試し酒」「笠碁」「らくだ」「宿屋の富」など。また、そばやうどんを食べるしぐさは絶品として知られた他、「百面相」などの芸でも有名。映画、テレビにも出演し、13歳から始めた剣道は北辰一刀流7段範士。立川談志(のち破門)、柳家小三治をはじめ数多くの弟子を持ち、長男の三語楼、孫の花緑も落語家として活躍。著書に「噺も剣も自然体」「柳家小さん集」(上下)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

367日誕生日大事典 「柳家 小さん(5代目)」の解説

柳家 小さん(5代目) (やなぎや こさん)

生年月日:1915年1月2日
昭和時代;平成時代の落語家
2002年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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