(読み)ははそ

精選版 日本国語大辞典 「柞」の意味・読み・例文・類語

ははそ【柞】

〘名〙 (「はわそ」の時代も)
ミズナラなどのナラ類およびクヌギ総称。ははそのき。
▼ははその実《季・秋》
古今(905‐914)秋下・二六七「さほ山のははその色は薄けれど秋は深くもなりにけるかな〈坂上是則〉」
② (語頭の二音が同音であるところから) 母にかけていう。
拾遺(1005‐07頃か)哀傷・一二八四「時ならでははその紅葉ちりにけりいかにこのもとさびしかるらん〈村上天皇〉」

ゆし‐の‐き【柞】

〘名〙 植物いすのき(柞)」の古名
※催馬楽(7C後‐8C)大芹「これやこの せんばん さんたの木 由之乃支(ユシノキ)の盤 むしかめの筒(とう)

ゆす‐の‐き【柞】

〘名〙 植物「いすのき(柞)」の古名。《季・春》
七十一番職人歌合(1500頃か)四二番「いかにせん逢ことかたきゆすの木の我にひかれぬ人の心を」

ほうそ はうそ【柞】

〘名〙 「ははそ(柞)」の変化した語。〔和玉篇(15C後)〕
※古活字本毛詩抄(17C前)一五「たとへばはうその木にふるい葉がしげったに又其あとに枝のやうに生ずると」

ゆす【柞】

〘名〙 植物「いすのき(柞)」の古名。〔日葡辞書(1603‐04)〕

ゆし【柞】

〘名〙 植物「いすのき(柞)」の古名。〔十巻本和名抄(934頃)〕

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デジタル大辞泉 「柞」の意味・読み・例文・類語

ははそ【×柞】

コナラ別名。古くは近似種のクヌギミズナラなどを含めて呼んだらしい。また、誤ってカシワをいうこともある。 秋》
《語頭の2音が同音であるところから》母の意にかけて用いる。
「いかにせん結ぶ木の実を待たずして秋の―に落つる山風」〈海道記

いす‐の‐き【×柞/蚊樹】

マンサク科の常緑高木。暖地自生。樹皮は灰白色。葉は長楕円形で厚く、互生する。春、紅色の細かい花が穂状に咲く。葉に生ずる虫こぶタンニンを含み、染料に、材は堅くて重く、柱・机・くしそろばん玉などに用いられ、また柞灰いすばいも作られる。虫こぶを吹いたときに鳴る音から「ひょんのき」ともいう。さるぶえ。さるびょう。くしのき。ゆすのき。いす。

ほうそ〔はうそ〕【×柞】

ははそ」の音変化。〈和玉篇〉

いす【×柞】

イスノキの別名。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「柞」の解説

柞 (コナラ・ハハソ)

学名:Quercus serrata
植物。ブナ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

柞 (イヌツゲ)

学名:Ilex crenata
植物。モチノキ科の常緑低木・小高木,園芸植物

柞 (イスノキ・イス;ホウソ;ユシ;ユシノギ;ユス;ユスノキ)

学名:Distylium racemosum
植物。マンサク科の常緑高木

柞 (ナラ・ハハソ)

植物。ブナ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物。カシワの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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