柔か・和か・軟か(読み)やわらか

精選版 日本国語大辞典 「柔か・和か・軟か」の意味・読み・例文・類語

やわら‐か やはら‥【柔か・和か・軟か】

〘形動〙 (「か」は接尾語)
① 手ざわり、肌ざわりがふんわりしているさま。弾力性に富むさま。やわらかいさま。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一「成熟して潤沢(うる)ひ香(きらきら)しく耎(ヤハらカニ)(うま)くあらしめむ」
② 性格・気持・様子・言動などがおだやかなさま。柔和。また、柔順なさま。
※催馬楽(7C後‐8C)貫河「やはら手枕(たまくら) 也波良加(ヤハラカ)に 寝(ぬ)る夜はなくて 親離(さ)くる夫(つま)
源氏(1001‐14頃)帚木「いとやはらかにの給ひて、おに神もあらだつまじきけはひなれば」
③ 厳しくないさま。堅苦しくないさま。また、世事に通じてくだけているさま。
※十訓抄(1252)一「邵伯が政のやはらかなりし、州民甘棠の詠をなし、羊祜が意の広かりし、門客峴亭の碑をたてけり」
④ ほんのりとした暖かみがあって快いさま。
※十六夜日記(1279‐82頃)「よつのうみ 波もしづかに をさまりて 空ふく風も やはらかに 枝もならさず」
⑤ よくこなれたさま。なめらかなさま。
平家(13C前)一一「舌のやはらかなるままに、君の御事な申そ」
⑥ 本来の厳しさに欠けてなまぬるいさま。
※俳諧・広原海(1703)九「やはらかな事やはらかな事・上方喧嘩江戸の噺声」
考え方などが、かたくなでなく柔軟性があるさま。
※読書放浪(1933)〈内田魯庵〉上下思想とルパシカ思想「然ういふ出来損ひや未成品の末流思想が却って案外にも頭のまだ柔かな青年に喜ばれ又共鳴される事も亦否み難い」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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