柏井園(読み)かしわいえん

改訂新版 世界大百科事典 「柏井園」の意味・わかりやすい解説

柏井園 (かしわいえん)
生没年:1870-1920(明治3-大正9)

神学者,牧師。高知出身同志社を卒業し明治学院神学部講師,のち教授となる。1903年渡米し,ユニオン神学校で神学を研究,05年帰国し東京神学社教頭翌年より2年間,日本基督教青年会主事を務め雑誌《開拓者》を主宰。14年雑誌《文明評論》を創刊,17年1月号に田川大吉郎の元老批判の論文を掲載したかどで発行署名人として罰をうけた。19年には千駄ヶ谷日本基督教会牧師を兼ね伝道に当たった。キリスト教界の文筆の人としての業績は《柏井全集》(正・続11巻)に収録されている。主著は《基督教史》(1924)など。
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朝日日本歴史人物事典 「柏井園」の解説

柏井園

没年:大正9.6.25(1920)
生年明治3.6.24(1870.7.22)
キリスト教学者,伝道者。土佐国(高知県)生まれ。高知共立学校を経て同志社普通部を卒業。在学中,R.B.グリナンから受洗。ニューヨークのユニオン神学校にも学ぶ。神学者植村正久に認められ,明治学院教授,東京神学社の教頭となり,伝道者養成と神学教育に当たる。この間,日本基督教青年会同盟の主事となり,明治39(1906)年に機関誌『開拓者』を創刊。大正3(1914)年には『文明評論』を発刊,同6年に同誌掲載の田川大吉郎の「方法を知らぬ民」が皇室冒とく罪に問われた。死の床で,「恩寵道徳」をめぐる英文著述を試みたいと述べたという。<著作>『柏井園全集』(全6巻,続篇5巻,別巻1巻)

(鵜沼裕子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柏井園」の意味・わかりやすい解説

柏井園
かしわいえん

[生]明治3(1870).7.22. 高知
[没]1920.6.24.
キリスト教神学者。文明評論家。 1887年高知教会で受洗し,同志社大学に入学。卒業後土佐女学校教員に就任。 93年植村正久に抜擢されて明治学院神学部講師,のちに教授となる。アメリカ留学後植村の設立した東京神学社教授となる。文筆をよくし,『福音新報』『開拓者』『文明評論』などに執筆,多彩な評論は注目された。『文明評論』の田川大吉郎論文『方法を知らぬ民』の筆禍事件に連座して処分を受けた。著書は『柏井全集』 (正続 11巻,1922) にまとめられている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「柏井園」の解説

柏井園 かしわい-えん

1870-1920 明治-大正時代の神学者,牧師。
明治3年6月24日生まれ。26年植村正久の推薦で明治学院の教師となり,のち東京神学社の教頭に就任。神学研究のかたわら「福音新報」の編集にあたり,「開拓者」などの主筆として活躍した。大正9年6月25日死去。51歳。土佐(高知県)出身。同志社普通学校卒。著作に「基督(キリスト)教史」。

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