柄鏡(読み)えかがみ

精選版 日本国語大辞典 「柄鏡」の意味・読み・例文・類語

え‐かがみ【柄鏡】

〘名〙 柄をつけた鏡。明からの輸入鏡に影響されて、銅製のものが室町時代に始まり、江戸時代に多量に製作された。
御湯殿上日記‐天正一四年(1586)一二月二六日「木のせ大かかみやゑかかみしん上申」
※俳諧・鷹筑波(1638)三「柄鏡(エカガミ)か月影を汲む水(みづひしゃく)〈正親〉」

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デジタル大辞泉 「柄鏡」の意味・読み・例文・類語

え‐かがみ【柄鏡】

柄のついた円形銅鏡みんからの輸入品の影響で、室町時代以降に多く作られた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柄鏡」の意味・わかりやすい解説

柄鏡
えかがみ

和鏡の一種で、円鏡(まるかがみ)と同じ材質の柄(え)のついたもの。室町時代までの鏡は円鏡で、多くは櫛笥(くしげ)の中に納めてあったが、天正(てんしょう)年間(1573~1592)から細長い柄がつくようになり、天下一(日本一)という銘をつけた。江戸時代になると、婚礼道具の一つとされ、鏡架にかけて使うようになり、鏡面には鶴亀(つるかめ)松竹梅などの寿(ことぶき)模様を多く用いた。大きさも30センチメートル前後から、口紅をつけるための5センチメートルくらいのものまで各種つくられた。さらに、合せ鏡もできて、化粧上の必需品となった。

[遠藤 武]


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改訂新版 世界大百科事典 「柄鏡」の意味・わかりやすい解説

柄鏡 (えかがみ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柄鏡」の意味・わかりやすい解説

柄鏡
えかがみ

鏡に柄をつけたもの。中国では宋代に始り,日本では室町時代につくられている。江戸時代には鏡はこの形が大部分を占め,明治に入りガラスの鏡が普及するにつれて,すたれていった。

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世界大百科事典(旧版)内の柄鏡の言及

【鏡】より

…和鏡は,材質や製作技術あるいは図像文様においても,鎌倉時代に頂点をきわめる。つづく室町時代には,宋・明鏡に学んだ柄鏡が出現し,以後の和鏡の主流となる。これまた,平安時代以来の実用的な映像具としての発展の一段階として理解できる。…

※「柄鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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