松帆の浦(読み)マツホノウラ

デジタル大辞泉 「松帆の浦」の意味・読み・例文・類語

まつほ‐の‐うら【松帆の浦】

淡路島北端の松帆崎の海岸明石海峡に臨む景勝地。まつおのうら。[歌枕
「来ぬ人を―の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」〈新勅撰・恋三〉

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日本歴史地名大系 「松帆の浦」の解説

松帆の浦
まつほのうら

八雲御抄」にみえる名所。現岩屋いわや地区北部の明石海峡に面した海岸一帯に比定される。「万葉集」巻六には、神亀三年(七二六)九月一五日聖武天皇が「播磨国印南郡に幸しし時に、笠朝臣金村の作る歌一首」として「名寸隅の 船瀬ゆ見ゆる 淡路島 松帆の浦に 朝凪に 玉藻刈りつつ 夕凪に 藻塩焼きつつ 海少女 ありとは聞けど 見に行かむ 縁の無ければ 大夫の 情は無しに 手弱女の 思ひたわみて 徘徊り われはそ恋ふる 船楫無み」がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松帆の浦」の意味・わかりやすい解説

松帆の浦
まつほのうら

兵庫県淡路(あわじ)島最北端、明石(あかし)海峡に臨む景勝地。淡路市に属す。瀬戸内海国立公園域で、白砂青松の海岸は『万葉集』をはじめ多くの歌に詠まれた。とくに藤原定家(ていか)の「来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに焼くや藻塩(もしお)の身もこがれつつ」(『新勅撰(しんちょくせん)和歌集』、『百人一首』)はよく知られている。幕末には、海防のために13の砲台が築かれ、いまも台場の石垣が残っている。徳島藩松帆台場跡として国指定史跡。

[吉田茂樹]

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