松居松葉(読み)まついしょうよう

改訂新版 世界大百科事典 「松居松葉」の意味・わかりやすい解説

松居松葉 (まついしょうよう)
生没年:1870-1933(明治3-昭和8)

劇作家。本名真玄。のちの号は松居松翁。宮城県塩釜に生まれた。坪内逍遥の《早稲田文学創刊から編集に従事。1894年《昇旭(のぼるあさひ)朝鮮太平記》を《読売新聞》に発表。翌年《中央新聞》に入り各紙劇評を執筆。99年初世市川左団次のために《悪源太》を書き,その没後は2世左団次を助け,外遊後明治座革新興行を企てて失敗した。以後文芸協会,帝国劇場,松竹劇作・演出に携わり劇壇重鎮であった。1913年には河合武雄公衆劇団を興した。代表作に《袈裟と盛遠》《茶を作る家》など,創作・翻案40編を数え,脚本集のほか《劇壇今昔》正続(1925)などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の松居松葉の言及

【新歌舞伎】より

…しかし,1881年江戸生え抜きの作者河竹黙阿弥が,新時代順応の限界を悟って引退を声明,その後も人なきがために筆をとっていたが,門弟に発展的継承がみられず,93年の黙阿弥の死は,それまでの狂言作者制度の崩壊を意味することになった。劇場外文学者の作品提供にはそうした事情もあり,やがて松居松葉坪内逍遥らが登場する。94年逍遥の《桐一葉》の《早稲田文学》への発表がそれであり,次いで99年松葉の《悪源太》,1904年前記《桐一葉》の舞台化が幕明けとなる。…

※「松居松葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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