松尾寺(まつおでら 大阪府)(読み)まつおでら

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

松尾寺(まつおでら 大阪府)
まつおでら

大阪府和泉(いずみ)市松尾寺(まつおじ)町にある天台宗の寺。山号は阿弥陀山(あみださん)。本尊は如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)。通称松尾観音。672年(弘文1)弘文(こうぶん)天皇の勅願により役小角(えんのおづぬ)が創立、のち越前(えちぜん)(福井県)の僧泰澄(たいちょう)が諸堂を建立して中興し、仁明(にんみょう)天皇のときに定額寺(じょうがくじ)となったと伝える。南北朝時代から室町時代にかけての盛時には、口伝(くでん)によれば寺領7000石、308の僧房をもち僧兵も有し、南朝に味方して活躍したという。1581年(天正9)織田信長の兵火により全山焼失したが、のち豊臣秀頼(とよとみひでより)が四天王寺の阿弥陀堂を移建したのが現在の本堂である。寺宝には、紙本墨書如意輪陀羅尼経(だらにきょう)、後亀山(ごかめやま)天皇宸筆(しんぴつ)の紙本墨書宝篋印(ほうきょういん)陀羅尼経、絹本着色孔雀明王曼荼羅(くじゃくみょうおうまんだら)(いずれも国重要文化財)などを蔵する。また境内には源平一ノ谷合戦の戦死者の首級を葬った首堂がある。

[中山清田]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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