精選版 日本国語大辞典 「杵」の意味・読み・例文・類語
き‐ね【杵】
き【杵】
しょ【杵】
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臼(うす)と対(つい)になって穀物の脱穀、精白、製粉や餅搗(もちつ)きに使う道具。みそをつくるときに煮た大豆を搗きつぶすのにも使う。杵の古語はキで、のちにキギ、キゲ、キノ、キネ、テキギなどとよぶようになった。構造的には竪杵(たてぎね)と横杵に大別でき、その使用には腕力によるもの、脚力によるもの、水力によるものなどがある。木の杵が一般的であるが、石の臼には石の杵が使われる場合もある。竪杵というのは、丸太の中ほどを手で握れるくらいの太さに削り、ここを持って上下に動かして臼の中のものを搗く。この型の杵は銅鐸(どうたく)に描かれたり、奈良県唐古(からこ)遺跡、静岡県登呂(とろ)遺跡からも出土しており、横杵より古いものである。竪杵は、のちに横杵にかわり、使用が少なくなったが、みそ豆搗きや焼米(やきごめ)搗き、餅の搗き始めには、最近まで丸棒状の竪杵が使われた。水力を利用する水車の杵も構造的には竪杵である。横杵というのは、杵にほぼ直角に横木(柄(え))をつけたもので、手で柄を持って使うものと、踏臼(ふみうす)(唐臼(からうす))といって足で横木を踏んで杵を上下させるものがある。横杵といえば一般的には前者をさすが、これには杵の先端が平らな餅搗き用のものと、凹形になった精白用のものがある。横杵による精白には、穀粒が循環するように、杵よりやや大きめの藁(わら)製の輪を臼の中へ入れることもある。
杵は臼とともに呪(じゅ)的な意味ももち、杵を男性、臼を女性に見立てた民俗がある。たとえば花嫁が婚家に入るときに、門口で杵をまたぐなどの民俗がある。
[小川直之]
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…江戸時代に河川や湖沼の沿岸にできた川船の湊。古代~中世には船をつなぐために水中に立てる杭・棹を〈かし〉といい,牱または杵と表記した。船に用意しておき,停泊地で水中に突き立てて用いた(《万葉集》1190)。…
…臼という漢字は,その形からきている。そのとき搗く棒を杵(きね)という。また,搗き砕くのではなくて,磨(す)りつぶす方が砕けやすいこともある。…
※「杵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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