東郷(鳥取県)(読み)とうごう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東郷(鳥取県)」の意味・わかりやすい解説

東郷(鳥取県)
とうごう

鳥取県中央部、東伯郡(とうはくぐん)にあった旧町名(東郷町(ちょう))。現在は湯梨浜町(ゆりはまちょう)の南部を占める地域。1951年(昭和26)東郷松崎(まつざき)の2村が合併して東郷松崎町となり、1953年舎人(とねり)、花見(はなみ)の2村と合併して東郷町となった。2004年(平成16)羽合町(はわいちょう)、泊村(とまりそん)と合併、湯梨浜町となる。旧町域にはJR山陰本線が通じ、北西部には東郷池があり、周辺丘陵上の北山古墳(きたやまこふん)(国史跡)は山陰最大級の前方後円墳である。伯耆一宮(ほうきいちのみや)(倭文(しどり)神社)経塚(きょうづか)(国史跡)出土の銅経筒(康和(こうわ)5年銘)など10点が国宝に指定されている。舎人地区には奈良前期の野方(のかた)廃寺跡と条里遺構がある。南部の羽衣石(うえし)にある羽衣石城跡(県指定史跡)は、1366年(正平21・貞治5)以後関ヶ原の戦いまで南条氏による伯耆支配の中心地であり、落城の日をしのぶ浪人踊(ろうにんおどり)は県の無形民俗文化財。鉢伏(はちぶせ)山山麓(さんろく)などは二十世紀ナシ栽培の中心地で、東郷鉱山は堆積(たいせき)型ウラン鉱山である。ここで1959年から1961年まで採掘が行われたが、1988年に放射性物質を含んだ残土が放置されていたことが発覚し問題となった(2006年残土撤去完了)。旧町域の中心は東郷池南岸の松崎で、東郷温泉がある。

[岩永 實]

『『東郷町誌』(1987・東郷町)』

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