東城川(読み)とうじようがわ

日本歴史地名大系 「東城川」の解説

東城川
とうじようがわ

成羽なりわ川水系の一つで、鳥取県境の道後どうご山を水源としほぼ東城町中央部を南流し、神石じんせき油木ゆき町で東に流路を変えて岡山県境の成羽湖(新成羽川ダム建設でできた人造湖)へ流入する延長約三四キロの川。吉備きび高原とよばれる幼年期の高原をV字形に刻んで流れ、途中、東城町域では内堀うつぼり川その他の河川、油木町域では帝釈たいしやく川を合わせる。なお東城川の名は、新成羽しんなりわ川ダム完成以前は、岡山県高梁たかはし市で高梁川に合流するまでの成羽川の別称として用いられた。高梁川は南流して岡山県倉敷くらしき市で瀬戸内海に注ぐ。江戸時代は一般的に東城町内では有栖ありす川とよびならわしているが、これは東城盆地を京都盆地になぞらえた文人たちによるものと考えられる。

古くから舟運が発達していたといわれるが、時期は明らかでない。しかし岡山県川上かわかみ備中びつちゆう笠神の文字かさがみのもじ岩の銘文によると同町小谷こだにから笠神の間に高瀬舟を通す工事が徳治二年(一三〇七)に完成しているから、それ以後には違いない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東城川の言及

【成羽川】より

…流域は過疎地が多い。広島県北東端の道後山に発し,広島県内では東城川と呼ばれる。名勝の帝釈(たいしやく)峡のある帝釈川を合わせて岡山県に入り,成羽川となる。…

※「東城川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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