日本大百科全書(ニッポニカ) 「東京瓦斯(株)」の意味・わかりやすい解説
東京瓦斯(株)
とうきょうがす
日本最大の都市ガス会社。1885年(明治18)渋沢栄一らが発起人となって東京瓦斯(ガス)会社として創立。創業当初のガス需要の主流は灯用であったが、大正年間には電灯の進出でガス灯は激減した。そのため燃料用需要の開拓を進め、都市熱エネルギーとしてのガス利用の普及に努めた。1945年(昭和20)10月に15のガス会社を合併し、供給区域を関東一円に拡大。その後、石炭から石油へのガス原料の転換、営業活動の拡充とサービス向上、コンピュータリゼーションの推進などに努めた。1969年に日本で初めてアラスカから液化天然ガスを導入し、従来の製造ガスのかわりに液化天然ガスを気化させてそのまま供給する供給ガスの天然ガス転換の先鞭(せんべん)をつけた。燃料電池やガスタービン発電などガスの総合利用を目ざして、研究開発にも力を入れている。新宿副都心、成田ニュータウンなどの地域冷暖房にも進出。床暖房需要の掘り起こしも追求している。資本金1418億円(2008)、売上高1兆2680億円(2008)。根岸(横浜)、袖ケ浦(そでがうら)(千葉県)などに工場をもつ。
[橘川武郎]
『社史編纂プロジェクトチーム編『東京ガス百年史』(1986・東京ガス株式会社)』