東京夢華録
とうけいむかろく
中国、北宋(ほくそう)(960~1127)の首都であった開封(かいほう)における都市生活の記録。10巻。宋の孟元老(もうげんろう)の著。彼は北宋末から南宋初めにかけての人で、徽宗(きそう)(在位1100~25)時代、人口が100万を超えた大都市開封の繁栄を追憶しつつ、主要な建物、街路、役所はもとより、商工業、娯楽、年中行事、風俗慣習などを事細かに記録した。張擇端(ちょうたくたん)の『清明上河図』とともに、当時の首都の社会経済、文化生活を知る絶好の資料である。この書の体裁は南宋に踏襲されて『夢粱(むりょう)録』などが出た。
[斯波義信]
『入矢義高・梅原郁訳・註『東京夢華録――宋代の都市と生活』(1983・岩波書店)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
東京夢華録
とうけいむかろく
Dong-jing meng-hua-lu; Tung-ching mêng-hua-lu
中国,宋代の書。 10巻。靖康年間 (1126~27) ,金軍の攻撃を受けて陥落した北宋の首都 汴京 (東京開封) の往時の盛況を偲んで,孟元老がその外城,街路,各種商店,風習,年中行事などを伝えるため,紹興 17 (47) 年に著わした。宋代の都市の風俗,商業などをうかがい知る好史料。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
とうけいむかろく【東京夢華録 Dōng jīng mèng huá lù】
中国,北宋の都汴京(べんけい)(河南省開封)の都市繁盛記。10巻。孟元老の著。南宋初め,1147年(紹興17)の序をもつ。北宋末,徽宗(きそう)時代(1101‐25)の国都の繁栄の姿を,そこに身をおいた著者が,女真(金)によって破壊されたあとで追憶しつつ記述したもの。東京は西京(洛陽)に対し,宋代では開封を指す。内容は都城の制度,宮殿,官庁,寺院などの叙述から,歳時記の形をとった市民,宮廷の人々の生活描写,飲食,娯楽,風俗など,生きた当時の都市生活におよぶ。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の東京夢華録の言及
【板橋雑記】より
…中国,明末の南京秦淮の名妓の伝記を中心に,当時の社会や時勢を描いた書。明・清興亡の際に南京に寓居していた余懐が,目のあたりに展開された悲劇に感慨を深くし,かつての南京の華麗の日々を追懐して記したもので,宋の孟元老の《東京(とうけい)夢華録》を模し,明朝に限りない思慕を寄せており,単なる香艶花史の類ではない。江戸時代には和刻本も出版されている。…
※「東京夢華録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報