東亜興業株式会社(読み)とうあこうぎょうかぶしきかいしゃ

改訂新版 世界大百科事典 「東亜興業株式会社」の意味・わかりやすい解説

東亜興業株式会社 (とうあこうぎょうかぶしきかいしゃ)

渋沢栄一提唱により1909年創立された日中経済開発を目的とした国策会社。東京麴町に設立。資本金は100万円。中国の鉄道,土木鉱山造船,電気などの調査,設計をおもな業務とした。日本興業銀行,三井,三菱,安田,住友らの財閥系企業を大株主にもち,漢口水電,武昌電灯,江西南潯鉄道など中国各地の事業に対する投資や公共事業への低利借款,住宅建設などの事業を展開,一時期日本資本の対中国投資の窓口としての役割を演じた。同様の目的をもった会社に,1913年創設された日中合弁の中国興業公司(1914年中日実業公司と改称)がある。20年代に入ると中国での軍閥戦争の激化のなかで事業投資が円滑に行われず,営業成績はかんばしくなく,5000余万円にのぼった借款と投資は回収不能の状態におちいった。東亜興業は,日中戦争勃発とともに,両国の関係悪化を反映し債権回収に失敗,事業活動の生命を終えた。
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世界大百科事典(旧版)内の東亜興業株式会社の言及

【対華投資】より

…中国に対する投資をいうが,歴史的に見ると,列国による投資と,華僑による投資とがある。
[列国の対華投資]
 18世紀初頭に東インド会社がすでに広東十三行商人に貸付けをおこなっていたが(公行),南京条約を機に,開港場を中心として貿易活動に対する投資が本格化した。次いで,1894年(光緒20)の日清戦争は外国資本の進出にとり転換点をなした。すなわち,中国が余儀なくされた戦費・賠償金の需要に対しイギリス,フランス,ドイツからの借款が増大し,さらに,下関条約によって開港場における工業企業権が獲得されると,製造業,鉱業など各事業への外国資本の進出が活発化した。…

※「東亜興業株式会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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