東アフリカ共同体(読み)ひがしあふりかきょうどうたい(英語表記)East African Community

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東アフリカ共同体」の意味・わかりやすい解説

東アフリカ共同体
ひがしあふりかきょうどうたい
East African Community

1967年に調印した東アフリカ協力条約により、ケニアウガンダタンザニア三国が結成した共同体で、その前身は1961年創設の東アフリカ共同役務機構。略称EAC加盟三か国の国家元首が構成する最高首脳会議をはじめ、東アフリカ議会、共同市場理事会、共同市場裁判所などからなる機構をもち、タンザニアのアルーシャ本部を置いて、三国の共同市場の拡大・強化、経済協力の推進、運輸通信、金融財務、経済計画などの面での協力を目的として活動を開始したが、1971年のウガンダにおけるアミン政権登場以後、三国間の対立が激化し、1977年には事実上解体した。

[小田英郎]

 その後、1993年に三国は「東アフリカ協力のための常設三国委員会」を設置することに合意し、さらに1999年には東アフリカ共同体設立のための条約署名。翌年7月7日に同条約が発効。再度東アフリカ共同体が発足した。2007年7月1日にルワンダブルンジが加盟した。2016年9月5日には南スーダンが、2022年7月11日にはコンゴ民主共和国がそれぞれ加盟した。

[黒神直純 2022年12月12日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「東アフリカ共同体」の解説

東アフリカ共同体

1996年5月13日に発足した東アフリカの地域協力機構。本部はタンザニアのアルーシャ。東アフリカ3国(ケニア、ウガンダ、タンザニア)には、植民地期に宗主国英国の統治の必要上、東アフリカ共同役務機構(EACSO)があり、独立後も3国はその存続を望み、67年に東アフリカ共同体(EAC)がつくられた。しかし、3国の経済発展の相違からEACにより最も利益を得たのはケニアであり、77年に解体した。その後、タンザニア・ウガンダ戦争、3国元首間の対立などがあり、EACの復活は遅れたが、95年11月、タンザニアに新政権が成立後、モイ・ケニア大統領(当時)、ムセベニ・ウガンダ大統領、ムカパ・タンザニア大統領間の話し合いが進み、東アフリカ協力機構(EAC)が発足した。さらに、99年11月には東アフリカ共同体設立条約が締結され、その後の批准により2000年7月に発効。01年1月に東アフリカ共同体(EAC)に移行し、05年4月にはルワンダ、ブルンジも加盟した。

(林晃史 敬愛大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東アフリカ共同体」の意味・わかりやすい解説

東アフリカ共同体
ひがしアフリカきょうどうたい
East African Community

1967年6月に調印された東アフリカ協力条約に基づき,同年 12月1日にケニア,タンザニア,ウガンダ3国が結成した共同体。 61年に成立した東アフリカ共同役務機構 EACSOを継承するもので,3国間の共同市場の拡大,強化,経済協力の促進,運輸通信,金融,経済計画,財務,企業などの面での協力などを目的としている。機構として3国大統領で構成する東アフリカ最高委員会のほか,東アフリカ議会,共同市場理事会,共同市場裁判所などがあり,本部はタンザニアのアルーシャにおかれている。ザンビアエチオピアソマリア,ブルンジが加盟を申請したこともあったが果さず,また 1970年代なかばに加盟3ヵ国間の関係が悪化し,77年6月 30日ケニアが引揚げ,共同体は解体した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東アフリカ共同体の言及

【イギリス領東アフリカ】より

…高等弁務府は関税,所得税の徴収事務を行い,地域統合を強める推進力となったが,50年代より高揚期を迎えたアフリカ民族主義運動は各地域の独立を目ざした。61年のタンガニーカ,62年のウガンダ,63年のザンジバル,ケニアの独立達成,64年のタンガニーカとザンジバルの合邦により,共同機構の役割も変化し,67年には東アフリカ共同体として改組されたが,77年にはこれも解消した。【吉田 昌夫】。…

【タンザニア】より

… 農業以外の面ではアルーシャ宣言によって,銀行,保険業,製粉業,セメント製造,ビール製造,製靴などの主要企業を国有化した結果,経済活動に占める公共部門の比重は高まった。またタンザン鉄道の建設,東アフリカ共同体(1967年ケニア,ウガンダとともに結成)が1977年に分解したことに伴う運輸施設への投資など,新規投資も外国援助を得て活発に行ったが,1973‐74年の大干ばつ,78‐79年のウガンダのアミン政権との戦争,79‐80年の第2次オイル・ショックの大きな影響を受け,経済危機に陥った。 80年代の経済危機は,主として国際収支の悪化により引き起こされた。…

※「東アフリカ共同体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android