杣田光正(読み)そまた・みつまさ

朝日日本歴史人物事典 「杣田光正」の解説

杣田光正

没年:安政3(1856)
生年:寛政6(1794)
江戸後期の螺鈿工。越中国富山の出身で,通称は弥平太。京都の青貝細工師杣田清輔が,富山藩2代藩主前田正甫(1649~1706)に招かれて興した杣田細工の伝統を継承し,さらに江戸で学ぶなどして,独自の境地を拓いた。杣田細工は,薄貝を切って長方形,方形,菱形などの細片にし,それを漆を塗った面に貼り付けて文様を表す方法で,江戸後期から明治期にかけて,特に印籠などの装飾に用いられて大いに好評を博した。その典型作として「小紋螺鈿印籠」「網文螺鈿印籠」(いずれも東京国立博物館蔵)などがある。

(小松大秀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「杣田光正」の解説

杣田光正 そまだ-みつまさ

1795-1856 江戸時代後期の漆芸家。
寛政7年生まれ。杣田光明の兄。越中(富山県)の人。家業をつぎ,狩野(かのう)派の絵もまなぶ。のち江戸にでて,青貝のほか金銀の切金(きりかね)と線条をもちいた精巧な漆器(杣田細工)を考案した。また富山藩校広徳館の剣術柔術の師範役をつとめた。安政3年8月15日死去。62歳。通称は弥平太。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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