杖突峠(読み)ツエツキトウゲ

デジタル大辞泉 「杖突峠」の意味・読み・例文・類語

つえつき‐とうげ〔つゑつきたうげ〕【杖突峠】

長野県中央部、諏訪盆地伊那谷とを結ぶ峠。標高1274メートル。近世まで諏訪・甲府方面と東海地方を結ぶ重要な交通路であった。傾斜が急で、杖を突いて登ったところからの名という。

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精選版 日本国語大辞典 「杖突峠」の意味・読み・例文・類語

つえつき‐とうげ つゑつきたうげ【杖突峠】

長野県中部、諏訪盆地の茅野市伊那地方の高遠町を結ぶ峠。標高一二四七メートル。杖突街道が通る。近世まで甲州、諏訪地方と伊那、東海地方を結ぶ要路。名は諏訪側が急で、登るのに杖を突いたところからという。

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日本歴史地名大系 「杖突峠」の解説

杖突峠
つえつきとうげ

片倉かたくら村の北、諏訪郡と伊那郡の境にある峠。諏訪から藤沢ふじさわ谷を経て高遠に通ずる峠道で、この道筋を杖突道(街道)という。諏訪側は断層崖を登るため急坂で「杖突」の名もこれによるという。標高一二四七メートルで頂上からは諏訪盆地や八ヶ岳連峰を一望できるが、伊那側の藤沢川の谷は緩傾斜である。

原初の東山道は、伊那谷を高遠からこの峠を越えて諏訪に出ているし、中世には諏訪から高遠に出、入野谷いりのやの谷を下伊那に抜け、更には遠州に通ずる軍用路でもあった。

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改訂新版 世界大百科事典 「杖突峠」の意味・わかりやすい解説

杖突峠 (つえつきとうげ)

長野県中部,茅野市と伊那市の旧高遠町の境の峠。杖突街道にあり,標高1247m。地質構造の上では,東西に走る中央構造線の東端に当たり,茅野市側からは断層崖を急登するので〈杖突〉の名が起こった。中世には諏訪から高遠,下伊那を経て遠州に至る軍用路として利用され,江戸時代は富士川通船で甲州の鰍沢(かじかざわ)まで運ばれた塩,魚,茶などの物産が伊那地方に移入する道筋であった。その後この峠交通は衰退したが,1933年峠に車道が開通した。峠からの展望は雄大で,諏訪盆地の全域,八ヶ岳連峰,霧ヶ峰,北アルプスの山並みを見渡すことができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杖突峠」の意味・わかりやすい解説

杖突峠
つえつきとうげ

長野県中部,諏訪盆地伊那盆地の分水界をなす峠。標高 1247m。赤石山脈北西部を通る杖突街道の最高所で,茅野市伊那市の境にある。諏訪盆地側の斜面中央構造線の断層崖で急傾斜をなし,登りに杖を必要としたことからこの名がついた。中世以来重要な交通路で,武田氏織田氏の軍用路,高遠藩参勤交代に利用された。自動車道 (国道 152号線) が開け,諏訪盆地を一望できるためハイカーが多い。

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百科事典マイペディア 「杖突峠」の意味・わかりやすい解説

杖突峠【つえつきとうげ】

長野県中部,茅野(ちの)市と高遠町(現・伊那市)を結ぶ杖突街道にある峠。標高1247m。茅野側はフォッサマグナの西縁にあたる急斜面,高遠側は緩斜面。中世には伊那を抜けて遠州にも通じる軍用路でもあり,武田信玄との戦を記した記録類には〈杖ツキ峠〉などとみえる。江戸時代に飯田藩などの参勤交代路となり,また諏訪詣の旅人で賑わった。諏訪盆地八ヶ岳の展望にすぐれ,現在はハイキング地になっている。
→関連項目高遠[町]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「杖突峠」の意味・わかりやすい解説

杖突峠
つえつきとうげ

長野県中央部、赤石山脈の北端にある峠。標高1247メートル。諏訪盆地(すわぼんち)側からは約500メートルの登りになり、急斜面を杖を突いて登るのでこの名が生まれたという。大正末期ごろまでは峠に達して不要になった杖を集め、燃やして供養をしたという。峠の南斜面に発する藤沢川の渓谷に沿って杖突街道(国道152号)が伊那(いな)市高遠へと通じている。近世までは諏訪、甲府方面と伊那谷を経て木曽谷(きそだに)や東海地方を結ぶ重要な交通路であり、秋葉神社(静岡県)への参詣(さんけい)路や、武田氏の東海地方への侵攻に利用された。峠からは北アルプス、諏訪盆地、霧ヶ峰、八ヶ岳(やつがたけ)連峰などの眺めがよい。

[小林寛義]

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