李克用(読み)りこくよう

精選版 日本国語大辞典 「李克用」の意味・読み・例文・類語

り‐こくよう【李克用】

中国唐末の武将。後唐の事実上建国者。廟号太祖。突厥の人。黄巣の乱平定に功があり勢力を得たが、朱全忠と争って敗れた。その子存勗は後梁を倒して後唐を建国。(八五六‐九〇八

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デジタル大辞泉 「李克用」の意味・読み・例文・類語

り‐こくよう【李克用】

[856~908]中国、五代後唐こうとうの初代皇帝荘宗の父で、事実上の建国者。おくりなは武皇帝。廟号びょうごうは太祖。突厥とっけつ沙陀さだ族の出身黄巣の乱で、反乱軍を破った功で河東節度使に任ぜられ、以後朱全忠後梁の太祖)と華北覇権争い陣没

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改訂新版 世界大百科事典 「李克用」の意味・わかりやすい解説

李克用 (りこくよう)
Lǐ Kè yòng
生没年:856-908

中国で朱全忠と並ぶ唐末群雄の一人。五代後唐の建国者荘宗李存勗(りそんきよく))の父で,後唐の太祖とよばれる。突厥(とつくつ)沙陀族の出身で,本姓は朱邪(しゆや)氏,父の朱邪赤心が唐朝より李姓を賜った。片目が小さいので独眼竜とあだなされ,かれが指揮する軍隊黒衣を着用して戦にひじょうに強かったので,鵶軍(あぐん)つまりカラス部隊とよばれて恐れられた。黄巣の乱の平定における最大の功労者として,山西省の太原に治所をおく河東節度使に任じられたが,汴州(べんしゆう)開封に拠る朱全忠との勢力争いに敗れた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李克用」の意味・わかりやすい解説

李克用
りこくよう
(856―908)

中国、唐末の群雄の一人。五代後唐(こうとう)の建国者李存勗(りそんきょく)はその長子。廟号(びょうごう)は太祖。突厥沙陀(とっけつさだ)族の出身で本姓は朱邪(しゅや)氏であったが、父の朱邪赤心が戦功によって唐朝から李国昌(こくしょう)の姓名を賜り、振武節度使(治所は山西省朔(さく)県)となった。北辺の武将に成長した李克用は、勇猛にして片方の目が小さかったため独眼竜と称され、また彼の率いる精鋭軍は黒衣を着ていたので鵶(あ)軍(鵶はカラス)とよばれて恐れられた。黄巣(こうそう)反乱軍が首都長安を占拠すると、唐朝の招請に応じて黄巣軍を連破し、長安回復の功績第一をもって、883年河東節度使(治所は山西省太原)を授けられ、のちには晋(しん)王の爵位も受け、大勢力をもつに至った。しかし群雄割拠のおり、とくに宣武節度使朱全忠とは宿敵の間柄となり、20余年にわたって激しく抗争したが、晩年には朱全忠軍に一時太原(たいげん)が包囲されるなど、まったくの劣勢に追い込まれるなかで、後事を李存勗に託して病没した。

[高橋継男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李克用」の意味・わかりやすい解説

李克用
りこくよう
Li Ke-yong; Li K`o-yung

[生]大中10(856).9.22. 神武川新城
[没]天祐5(908).1.4. 晋陽
中国,五代後唐の事実上の始祖。諡は武皇帝。廟号は太祖。後唐第1代の皇帝荘宗の父。軍功によって唐朝から李国昌の姓名を与えられた突厥人の朱邪赤心の第3子。幼時から騎射をよくし李あ児といわれ,また片方の目が悪いため独眼竜ともいわれた。黄巣の乱鎮定に武功第一として検校司空同中書門下平章事,河東節度使に任じられ,次いで隴西郡王,晋王に進んだ。唐末藩鎮割拠のなかで,朱全忠 (後梁の太祖) と対立し,唐朝を守った。子の李存きょくが後唐を建国し,克用を太祖武皇帝とした。

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世界大百科事典(旧版)内の李克用の言及

【五代十国】より

…唐を滅ぼし五代最初の後梁朝をたてた朱全忠は,黄巣軍の中心的部将であり,唐側に投降してその恩賞として節度使に任ぜられた。五代第2の後唐の事実上の建国者李克用も,異民族部隊の長として黄巣の乱平定に活躍し,その功で節度使に任ぜられたものである。唐を実質的滅亡に追いこんだ黄巣の乱とその後の争乱のなかから身を起こした群盗,流賊,軍賊,土豪,そして異民族出身者など,まったく新しい階層の出身者が五代十国の各政権の担い手となる。…

【唐】より

…923‐936年。突厥(とつくつ)沙陀部出身で唐朝から李姓を賜った家系の李克用は,黄巣の乱平定に大功があり,河東節度使,晋王となった。彼は朱全忠(後太祖)と激しく覇を争ったが,その子李存勗(りそんきよく)(荘宗)はついに後梁を滅ぼし,洛陽を都として後唐を樹立した。…

※「李克用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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