朽木(読み)くちき

精選版 日本国語大辞典 「朽木」の意味・読み・例文・類語

くち‐き【朽木】

〘名〙
① 朽ちた木。腐った木。かれき腐木。きゅうぼく。
古今(905‐914)雑上・八七五「かたちこそみ山がくれのくちきなれ心は花になさばなりなん〈兼芸〉」 〔観智院本名義抄(1241)〕
② (比喩的に) 世に知られないで、空しく朽ち果てる物事や人。不遇。
※後撰(951‐953頃)雑二・一一七五「春やこし秋や行きけんおぼつかな影の朽木と世を過ぐす身は〈閑院〉」

きゅう‐ぼく キウ‥【朽木】

〘名〙 朽ちた木。くちき。
明衡往来(11C中か)上本「是則朽木遇春之秋也」
※あこがれ(1905)〈石川啄木〉啄木〈上田敏〉「げに虚(うつろ)なる朽木(キウボク)の 幹にひそめるけら虫は 風雅の森のそこなひぞ」

くつき【朽木】

滋賀県高島市の地名。もとは、高島郡朽木村安曇(あど)川上流比良山地にあり、江戸初期、朽木藩が置かれていた。

くつき【朽木】

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デジタル大辞泉 「朽木」の意味・読み・例文・類語

くち‐き【朽(ち)木】

朽ちた木。腐った木。
不遇のままむなしく一生を終える人の境遇のたとえ。
[類語]樹木木本木木きぎ花木果樹雑木苗木若木・成木・古木老い木老木老樹生木立ち木埋もれ木枯れ木倒木流木名木霊木神木大木大樹巨木巨樹低木灌木高木喬木

くつき【朽木】

滋賀県高島市西部の地名。安曇川あどがわ上流にあり、かつて朽木のそまとよばれた木材の産地。朽木渓谷がある。

きゅう‐ぼく〔キウ‐〕【朽木】

くちた木。くちき。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朽木」の意味・わかりやすい解説

朽木
くつき

滋賀県中西部、高島郡にあった旧村名(朽木村(むら))。現在は高島市西部を占める地域。丹波高地、比良(ひら)山地と花折(はなおれ)断層に沿う安曇(あど)川流域の小平地からなる。旧朽木村は2005年(平成17)マキノ、今津(いまづ)、安曇川、高島、新旭(しんあさひ)の5町と合併し、高島市となった。朽木の杣(そま)とよばれたように木材の供給地で、かつては木地師(きじし)集落もあった。現在も林業が盛ん。古代から中世の朽木荘(しょう)の地。近世、中心集落の市場(いちば)には旗本朽木氏の陣屋が置かれた。国道367号が通じ、冬期の豪雪により交通が途絶することも多いが、花折断層沿いの街道はかつて北陸と京都を結ぶ重要路で「鯖の道(さばのみち)」ともよばれた。旧秀隣寺庭園、池の沢庭園は国指定名勝。安曇川上流の朽木渓谷は県立自然公園になっている。

高橋誠一

『『朽木村誌』(1974・朽木村)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朽木」の意味・わかりやすい解説

朽木
くつき

滋賀県北西部,高島市南西部の旧村域。安曇川中流域にある。1889年村制。2005年マキノ町,今津町,安曇川町,高島町,新旭町の 5町と合体して高島市となった。地名は中世の荘名による。耕地は少なく,ほとんどが山林で林業が主。シイタケを産する。中心地区の市場は鎌倉中期から明治期まで朽木氏が領有した地で,陣屋跡が残る。旧秀隣寺庭園は国の名勝。若狭街道が南北に縦貫。ほとんど全域が朽木・葛川県立自然公園に属する。

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普及版 字通 「朽木」の読み・字形・画数・意味

【朽木】きゆう(きう)ぼく

くさった木。土台がだめなもの。〔論語、公冶長〕宰予(さいよ)晝寢(い)ぬ。子曰く、朽木は雕(ほ)るべからず。糞土の牆(かき)は(ぬ)るべからず。

字通「朽」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「朽木」の意味・わかりやすい解説

朽木 (くつき)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「朽木」の解説

朽木 (クチキ)

植物。バラ科の落葉小高木,園芸植物,薬用植物。ウメの別称

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