朽木荘(読み)くつきのしょう

百科事典マイペディア 「朽木荘」の意味・わかりやすい解説

朽木荘【くつきのしょう】

近江国高島郡の荘園。現滋賀県高島市朽木周辺を荘域とした。京都から若狭(わかさ)国への街道要衝に位置する。1001年平惟仲が京都白川(しらかわ)寺喜多(きた)院(寂楽寺)に寄進した荘園の一つであるが,前後の伝領は不明。地頭職は承久の乱勲功により佐々木信綱に与えられ,その後,一族朽木氏世襲。同氏は主要流通路を押え,土地集積を進めることによって経済的基盤を固め,その領主的支配は近世まで及んだ。同氏に伝わった1000点余の《朽木文書》は中世領主制や村落史研究にとって貴重。なお室町期に荘内には(そう)とよばれる小村落が点在,16世紀初期には三百数十軒の在家があった。
→関連項目久多荘

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の朽木荘の言及

【朽木[村]】より

…森林公園やスキー場の整備による活性化策も図られている。【松原 宏】
[歴史]
 山間地域であるが,京都から若狭国小浜に通じる街道に沿い,かつては交通・運輸の要衝で,中世には朽木荘といわれた。1001年(長保3)に中納言兼大宰帥平惟仲が朽木荘を白川寺喜多院に施入したとあるのが史料上の初見(《高野山文書》)。…

【朽木氏】より

…佐々木氏の一族。佐々木信綱が承久の乱の功によって近江国高島郡朽木荘の地頭職を与えられたのち,その曾孫義綱がここを領して朽木氏を称するようになった。また朽木氏をはじめとする佐々木一族は,いくつかの系統に分かれて高島郡内に割拠し,高島七党と呼ばれる武士団を形成した。…

※「朽木荘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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