朱肉(読み)しゅにく

精選版 日本国語大辞典 「朱肉」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐にく【朱肉】

〘名〙 朱色印肉。朱と油を練って繊維質のものに含ませたもの。
※俳諧・宇陀法師(1702)誹諧撰集法「朱肉の方、色々有。冬凍安し」
※不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉中「呼鐘を鳴らして朱肉(シュニク)の盒(いれもの)を取り寄せ」

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デジタル大辞泉 「朱肉」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐にく【朱肉】

朱色の印肉。

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百科事典マイペディア 「朱肉」の意味・わかりやすい解説

朱肉【しゅにく】

印章を押すために用いられた朱色の印肉。中国の隋・唐の時代からあり,正倉院文書にも残されている。高級品は顔料として赤色硫化水銀を,一般品はレーキ顔料を用い,これにヒマシ油ゴマ油,洋松油,木蝋(もくろう)等を配合してロール機で混和し,もぐさ,パンヤ等の繊維と練って作る。色により黄口(きぐち),赤口の別がある。なお,カーボンブラックを用いた黒をはじめ,色顔料を用いた藍(あい),茶,緑等の印肉もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朱肉」の意味・わかりやすい解説

朱肉
しゅにく

印肉

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世界大百科事典(旧版)内の朱肉の言及

【印章】より

…徳川家光以降の歴代将軍の印文もすべて実名家光・家綱などと定型化した。清朝の篆刻の影響によって,江戸時代好事家は自身の特技を生かして多種多様な印章を自作したが,庶民実用の印は認印,その形は平凡な円印・方印などであり,印肉は朱肉の使用を禁じ黒印のみに制限された。庶民の朱肉使用は1868年(明治1)江戸を東京と改称した年の9月からである。…

【印肉】より

…これを封泥という。そのため後に朱印を使うようになってからでも,朱肉のことを印泥と呼ぶのである。隋・唐時代からは朱印で押した実物が現存しているが,ことに正倉院文書には8世紀の実物が多く残っている。…

※「朱肉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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