本補地頭(読み)ほんぽじとう

精選版 日本国語大辞典 「本補地頭」の意味・読み・例文・類語

ほんぽ‐じとう ‥ヂトウ【本補地頭】

〘名〙 新補地頭に対して、それ以前に補任された地頭。文治元年(一一八五源頼朝平家没官領に地頭を補任する権限を得て以後、幕府数度にわたって広く地頭を新補した各時点で、それ以前に補任されている地頭をいう。また、特に承久の乱(一二二一)の後の貞応二年(一二二三)に定めた新しい地頭給分の規定による新補の地頭に対してそれ以前の、あるいはこれ以後に補任されてもその規定によらない地頭をいう。本地頭。本補。⇔新補地頭。〔沙汰未練書(14C初)〕

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デジタル大辞泉 「本補地頭」の意味・読み・例文・類語

ほんぽ‐じとう〔‐ヂトウ〕【本補地頭】

鎌倉幕府により以前からの所職安堵あんどされた地頭。また、特に承久の乱以前からの地頭をさす。→新補地頭

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本補地頭」の意味・わかりやすい解説

本補地頭
ほんぽじとう

鎌倉幕府の下で前代からの所職(しょしき)・得分(とくぶん)を安堵(あんど)された地頭のこと。通常、承久(じょうきゅう)の乱(1221)ののちに新設された新補(しんぽ)地頭に対して、幕府草創期から1221年(承久3)6月までに補任(ぶにん)されたものをいう。この種の地頭は、その成立由来によって所職・得分内容などが一律でなく、伝来のそれが尊重されたが、一般には新補地頭に対して、開発領主(かいほつりょうしゅ)として下地(したじ)全般に対する支配権をもつものが多く、鎌倉時代のもっとも強力な在地の領主を代表する存在とみなされる。

[義江彰夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本補地頭」の意味・わかりやすい解説

本補地頭
ほんぽじとう

鎌倉幕府成立後,従来支配していた私領を安堵されて地頭職に補任された地頭の称。新恩として新補率法を適用された新補地頭と異なり,得分 (とくぶん) ,所務は先例に従った。地頭職が没収され,まったく新しく設定された地頭職を恩賞として与えられた新補地頭には,承久の乱 (1221) 後の措置として補任されたものが多く,一般に承久の乱を中心にそれ以前の地頭を本補地頭,それ以後に補任された地頭を新補地頭と区別しているが,厳密には乱後に補任された地頭でも,新補率法が適用されない地頭は本補地頭の分類に入った。

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百科事典マイペディア 「本補地頭」の意味・わかりやすい解説

本補地頭【ほんぽじとう】

鎌倉幕府により前代からの所領や諸権利を地頭職の内容として安堵(あんど)された地頭。承久(じょうきゅう)の乱後,全国的に設置された新補(しんぽ)地頭と区別するため,それ以前の地頭を本補地頭と呼んだ。

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旺文社日本史事典 三訂版 「本補地頭」の解説

本補地頭
ほんぽじとう

鎌倉幕府から,御家人本来の所領・所職を地頭職補任の形で安堵された地頭
1185(文治元)年以来の地頭をさす。それぞれの来歴があるから得分形態・職権内容ともその土地ごとの先例によるため差異があり一定していない。この点,収益の比率が規定された承久(1219〜22)以後の新補地頭に対する概念といえる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「本補地頭」の解説

本補地頭
ほんぽじとう

承久の乱以前に任命された地頭。鎌倉時代,新補(しんぽ)地頭に対置して用いられた。また新補地頭のうち,新補率法適用の地頭のみを新補地頭とよぶ場合は,それ以外の地頭をすべて本補地頭という。

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世界大百科事典(旧版)内の本補地頭の言及

【地頭】より

…これには平家没官領や承久の乱における3000余ヵ所の没収地,そのほか畠山,和田,三浦,安達など族滅された諸氏の所領,さらには一般犯罪人跡などが対象とされた。(3)については,承久の乱後に制定された率法に基づく得分を内容とする新補地頭(新補率法地頭)とそれ以外の本補地頭ということになる。ただしかかる本補・新補の区別は時代が下るにつれ混乱し,鎌倉末期の《沙汰未練書》などには〈承久兵乱の時,没収の地をもって宛給所領等の事なり〉とあり,承久の乱後に設置された地頭をすべて新補地頭とする観念が一般化する。…

【新補地頭】より

…これによれば新補地頭とは承久の乱後の恩賞として補任された地頭すべての呼称とされ,新補地頭の概念が拡大されていることがわかる。この場合,承久の乱前に補任された地頭のことは本補地頭と呼んで新補地頭と区別した。【関 幸彦】。…

※「本補地頭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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