本末(読み)もとすえ

精選版 日本国語大辞典 「本末」の意味・読み・例文・類語

もと‐すえ ‥すゑ【本末】

〘名〙
① 本と末。上と下。先とあと。
※続日本後紀‐嘉祥二年(849)三月庚辰「其長歌詞曰〈略〉嬰児の 咳語に 折箸の 本末知らず 乱糸の 乱て有れど」
草木根本(ねもと)枝葉。物の根本と枝葉。
※延喜式(927)祝詞遠山・近山に生ひ立てる大木小木を本末(もとすゑ)うち切りて」
※春泥(1928)〈久保田万太郎〉三羽烏「本末(モトスヱ)をはっきりと、立てるものは立て押へるものは押へた」
③ 歌の上の句下の句
※枕(10C終)二七六「はづかしき人の、歌のもとすゑ問ひたるに、ふとおぼえたる、我ながらうれし」
神楽(かぐら)拍子で本方(もとかた)末方(すえかた)との称。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「もとすゑもたどたどしきまで酔ひすぎにたる神楽おもてども」
物事の始めと終わり。事のいきさつ。
浮世草子好色一代男(1682)三「恋のもと末(スヘ)もなく、夢もむすばずありしに」

ほん‐まつ【本末】

〘名〙
① もととすえ。はじめとおわり。始終ほんばつ
法華義疏(7C前)一「釈迦仏門 先嘆権智後嘆実智者 諸仏門先実後権者 欲本末唯有本故有末」 〔易経‐大過卦〕
本山末寺

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デジタル大辞泉 「本末」の意味・読み・例文・類語

もと‐すえ〔‐すゑ〕【本末】

本と末。上と下。また、先とあと。
草木の幹と枝葉。また、上枝と下枝。
物事の根本と枝葉。大切なこととそうでないこと。ほんまつ。
物事の始めと終わり。また、始めから終わりまで。一部始終顛末
「はかない恋の―をかきくどいているところへ」〈中勘助・鳥の物語〉
宮廷御神楽みかぐら演奏で、本方と末方。
歌の上の句と下の句。
「歌の―問ひたるに」〈・二七六〉

ほん‐まつ【本末】

物事の始めと終わり。
物事の根本と枝葉。重要なこととささいでつまらないこと。「本末を誤る」
本山と末寺。

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普及版 字通 「本末」の読み・字形・画数・意味

【本末】ほんまつ

根本と末端。始終。厚薄。〔大学、一〕物に本末り、事にり。先後するを知れば、則ちし。

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