末葉(読み)マツヨウ

デジタル大辞泉 「末葉」の意味・読み・例文・類語

まつ‐よう〔‐エフ〕【末葉】

ある時代の終わりごろ。末期。「20世紀の末葉
物事の大事でない部分。
生産者の責任はやはり―たるを免れぬ」〈河上肇貧乏物語
子孫末裔まつえいばつよう。
上総国の御家人高滝と聞こえしものの―にて」〈折たく柴の記・上〉
[類語](1末期終期晩期/(3子孫末裔後裔孫子末孫後胤子子孫孫

うら‐ば【末葉】

草木の茎や枝の先のほうの葉。うれば。⇔本葉もとは
「池の辺の松の―に降る雪は五百重いほへ降り敷け明日さへも見む」〈・一六五〇〉

すえ‐ば〔すゑ‐〕【末葉】

草木の先の方にある葉。うらば。
子孫。末孫。まつよう。
「竹の園生そのふの―まで、人間の種ならぬぞやんごとなき」〈徒然・一〉

ばつ‐よう〔‐エフ〕【末葉】

まつよう(末葉)3」に同じ。
「兼輔の中納言より八代の―」〈平家・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「末葉」の意味・読み・例文・類語

まつ‐よう ‥エフ【末葉】

〘名〙
① 末孫。末裔。後裔。ばつよう。
※本朝文粋(1060頃)四・為入道前太政大臣辞職第三表〈大江匡衡〉「末葉多列槐庭兮栄顕、臣之居三公者」 〔急就篇‐焦滅胡注〕
② 末の時代。末世末代。〔魏志‐高堂隆伝〕
末年。ある区切りの終わりに当たるころ
※雪(1938)〈中谷宇吉郎〉二「十九世紀の末葉から顕微鏡写真の方法が考案され」
④ 物事の大事でない部分。
岡本手帳(1906)〈国木田独歩〉「されどわが『この願』よりすれば悉く末葉なり幻影を追へるなり」

すえ‐ば すゑ‥【末葉】

〘名〙
① 草木の枝や茎の先端にある葉。こずえの葉。うらば。
※いほぬし(986‐1011頃)「いかにせむ風にみだるる荻の葉の末ばの露にことならぬみを」
② 転じて、子孫。末孫。末裔(まつえい)。まつよう。
徒然草(1331頃)一「竹の園生の末葉まで、人間の種ならぬぞやんごとなき」
③ 終わり頃。末端
幸若・笛之巻(寛永版)(室町末‐近世初)「その年の神無月、すゑはのころになりければ」

うれ‐わわら‐は【末葉】

〘名〙 先の方の乱れそそけた葉。
[補注]「万葉‐一六一八」の「玉に貫き消たず賜(たば)らむ秋萩の宇礼和良葉(ウレワワラは)に置ける白露」の訓であるが、「うれわわらばに」で、葉先がたわむばかりにの意とする説、「」を「久」の誤字として、「うれわくらばに」で、白露が秋萩の末に特に際立って置いているさまとする説などがある。

うら‐ば【末葉】

〘名〙 草木の茎や枝の先端の葉。こずえの葉。⇔もと葉
※古事記(712)下・歌謡「上(ほ)つ枝(え)の 枝の宇良婆(ウラバ)は 中つ枝に 落ち触(ふら)ばへ 中つ枝の 枝の宇良婆(ウラバ)は」

ばつ‐よう ‥エフ【末葉】

〘名〙 末孫。末裔。後裔。まつよう。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※屋代本平家(13C前)六「越後の国には余五将軍が末葉(ハツヨウ)城太郎助長、同四郎助持等は」

うれ‐は【末葉】

〘名〙 草木のすえの方にある葉。うらば。梢葉。
※拾遺愚草員外(1240頃)「初雪の窓の呉竹ふしながらおもるうれはのほどぞ聞ゆる」

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普及版 字通 「末葉」の読み・字形・画数・意味

【末葉】まつよう(えふ)

末世。子孫。漢・〔太尉楊公碑〕其の先は、蓋(けだ)しの武王の穆(ぼく)(子孫)にして、晉の叔の后(のち)なり。末子を以て、邑を楊にす(封ぜられる)。因りて氏とす。

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