木香(読み)キガ

デジタル大辞泉 「木香」の意味・読み・例文・類語

き‐が【木香】

木材のかおり。「木香の残る新築の家」
酒に移ったたるの香。
「たまには杉の―の躍り出る奴を呑ませ」〈露伴・新浦島

もっ‐こう〔モクカウ〕【木香/唐香】

キク科多年草。高さ約2メートルに達し、葉は広楕円形暗紫色アザミに似た花をつける。インド北部の原産。根には芳香苦味があり、乾燥させたものを漢方健胃整腸薬に用いる。昔は衣服防虫剤に用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「木香」の意味・読み・例文・類語

き‐が【木香】

〘名〙
① 新しい木材のかおり。
※あらくれ(1915)〈徳田秋声〉四七「まだ木香(キガ)のとれないくらゐの新建(しんだち)であった」
② 酒に移った、たる材の香。
和英語林集成初版)(1867)「コノ サケ kiga(キガ) クサイ

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改訂新版 世界大百科事典 「木香」の意味・わかりやすい解説

木香 (もっこう)

生薬名。キク科のSaussurea lappa Clarke(木香)をはじめ,ウマノスズクサ科のウマノスズクサAristolochia debilis Sieb.et Zucc.(青(せい)木香),キク科のVladimiria souliei (Franch.) Ling,V.denticulata Ling(川(せん)木香)やInula belenium L.(土(ど)木香)など,植物学的にはさまざまな種の根が木香の名で利用される。精油を含み,主成分セスキテルペンで,そのほかステロイド,トリテルペノイドも含有する。健胃薬として,また嘔吐下痢腹痛など胃腸薬として用いられる。
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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「木香」の解説

もっこう【木香】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。キク科モッコウの根を乾燥したもの。健胃鎮痛利尿抗菌などの作用がある。高血圧動脈硬化肩こりに効く九味檳榔湯(くみびんろうとう)更年期障害月経不順に効く女神散(にょしんさん)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「木香」の解説

木香 (モッコウ)

学名:Saussurea lappa
植物。キク科の多年草,薬用植物

木香 (モクコウ)

植物。バラ科の落葉低木,園芸植物。モッコウバラの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の木香の言及

【トウヒレン】より

…分布域はミヤコアザミの分布域に近い。【小山 博滋】 カシミール付近のヒマラヤ山地に産するモッコウ(木香)S.lappa Clarkeは高さ1mをこえる大型草本である。根には精油を含み,芳香がある。…

※「木香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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