木瓜(読み)ぼけ

精選版 日本国語大辞典 「木瓜」の意味・読み・例文・類語

ぼ‐け【木瓜】

〘名〙
バラ科の落葉低木。中国原産で、日本では観賞用に庭などに植えられる。高さ一~二メートル。小枝にとげがある。葉は有柄、長楕円形または卵形で縁に細鋸歯(きょし)がある。四~五月に、径三センチメートルぐらいの五弁花が咲く。花は紅・淡紅・白色またはそれらの絞(しぼ)り。果実は卵形か球形で長さ約五センチメートル。黄緑色に熟す。和名は中国産のマボケの漢名「木瓜(ぼくか・ぼっか)」から。漢名、貼梗海棠。もけ。もっか。ぼっか
▼ぼけの花 《季・春》
▼ぼけの実 《季・秋》
※雑談集(1305)一〇「転筋の病には木瓜あぶりて、さすりなづれば愈ゆ」
植物くさぼけ(草木瓜)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

もっ‐こう モクカウ【木瓜】

〘名〙
① 紋所の名。鳥の巣が卵を包んでいるもの。一説に、蜂の巣をかたどったもの、または瓜を輪切りにしたものを図案化したものともいう。簾(すだれ)の帽額(もこう)に多く用い、木瓜とあて字した。木瓜、四方木瓜、唐木瓜、割り木瓜などがある。もこう。窠文(かもん)。〔伊京集(室町)〕
② (常磐津節の家元定紋が角木瓜であるところから) 常磐津節をしゃれていった語。
※雑俳・柳多留‐六九(1817)「もっこうの娘をいつかかつぎ出し」
天秤(てんびん)の針の尖端を取囲む①に似た金属。

もっ‐か モククヮ【木瓜】

〘名〙 バラ科の植物、ボケ、クサボケカリンなどの果実をさす。漢方で嘔吐(おうと)下痢水腫・転筋などに用いる。〔伊京集(室町)〕
※諸人日用宝(1737)上「木瓜(モックヮ)を粉にして〈略〉脚気のいたむ所、はれたる所へひたものひくべし」

も‐け【木瓜】

〘名〙 植物「ぼけ(木瓜)」の古名。〔本草和名(918頃)〕

も‐こう ‥カウ【木瓜】

ぼっ‐か ボククヮ【木瓜】

〘名〙 =ぼけ(木瓜)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「木瓜」の意味・読み・例文・類語

ぼ‐け【木瓜】

バラ科の落葉低木。高さ約2メートル。枝にとげがあり、葉は楕円形で縁にぎざぎざがある。春、葉に先だって、紅・淡紅・白色や絞りの5弁の花が咲く。実は球状で夏に黄色に熟し、香りがある。中国の原産で、庭木にされる。ぼっか。もけ。 花=春 実=秋》四阿あづまやや此処に春ゆく―二輪/水巴

もっ‐こう〔モクカウ〕【木×瓜】

紋所の名。鳥の巣が卵を包んでいるように見える図柄。また、ウリを輪切りにした形を図案化したものともいう。すだれの帽額もこうに多く用いたところからいい、「木瓜」と当てて書いた。窠紋かもん。もこう。

もっ‐か〔モククワ〕【木×瓜】

ボケまたはカリンの成熟果実。漢方で、利尿・鎮痛薬などに用いる。

も‐け【×瓜】

ボケの古名。〈和名抄

も‐こう〔‐カウ〕【×瓜】

もっこう(木瓜)

ぼっ‐か〔ボククワ〕【木×瓜】

ぼけ」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「木瓜」の解説

木瓜 (ボケ・ボクカ;モクカ)

学名:Chaenomeles speciosa
植物。バラ科の落葉低木,園芸植物,薬用植物

木瓜 (キュウリ)

学名:Cucumis sativus
植物。ウリ科の一年生つる植物,園芸植物,薬用植物

木瓜 (ボケ)

植物。バラ科の落葉小低木,園芸植物,薬用植物。クサボケの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android