木曽山脈(読み)キソサンミャク

デジタル大辞泉 「木曽山脈」の意味・読み・例文・類語

きそ‐さんみゃく【木曽山脈】

長野県南西部、木曽谷伊那いな盆地との間に連なる山脈最高峰駒ヶ岳の標高2956メートル。中央アルプス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木曽山脈」の意味・わかりやすい解説

木曽山脈
きそさんみゃく

長野県南西部から岐阜・愛知県境にかけて伸びる山脈。日本アルプスの一山脈をなす。木曽谷と伊那盆地(いなぼんち)を境し、東を天竜川、西を木曽川の二大河川に挟まれ、両側断層崖(がい)をなす地塁山脈である。山脈は大部分花崗(かこう)岩からなり、東方の赤石(あかいし)山脈(南アルプス)と、北西の飛騨(ひだ)山脈(北アルプス)の中央にあるため中央アルプスとよばれ、主峰は駒ヶ岳(こまがたけ)(木曽駒ヶ岳)の2956メートルを最高に、2500メートル以上の高峰が25座もある。山脈は南北約100キロメートル、東西約20キロメートルで、北半分が高く、空木(うつぎ)岳(2864メートル)、南駒ヶ岳(2841メートル)などがあり、南へしだいに低下し、南端恵那(えな)山は2191メートル。この山脈は何回かの断続的な隆起により形成され、山腹はきわめて急斜面である。山体の幅が北アルプスや南アルプスに比べて狭いので、山麓(さんろく)からのアプローチが比較的容易で、JR飯田(いいだ)線の駒ヶ根駅から北御所登山口を経て主峰の駒ヶ岳山頂でも1日で登頂できる。さらに現在山頂近くの千畳敷山荘までロープウェーができているので、終点から2時間で到達できる。2500メートルより上の高所にはダケカンバやハイマツ、さらに高所にはツガザクラ、コイワカガミ、ハクサンフウロクロユリなどがあり、駒ヶ岳から宝剣(ほうけん)岳山頂付近には氷食地形のカール(圏谷(けんこく))が存在する。山腹が急斜面のため、東西に流下する大小の河川は山麓に扇状地を形成し、東側の伊那盆地にはとくに田切(たぎり)地形が発達している。2020年(令和2)3月、木曽山脈のほぼ全域が木曽谷周辺とともに中央アルプス国定公園に指定された。伊那と木曽を結ぶ横断道は、近世、北部から権兵衛(ごんべえ)峠、大平(おおだいら)峠、清内路(せいないじ)峠があったが、現在車道になっているのは権兵衛峠(1984年開通)と大平峠で、清内路峠は清内路トンネル竣工にともない廃道となった。また、中央自動車道は恵那山直下を長大なトンネルで連絡している。

[小林寛義]

『塩沢一郎著『中央アルプス』(1969・山と渓谷社)』『柳沢一男・小池明義著『中央アルプス』(1969・実業之日本社)』


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