木の芽(読み)きのめ

精選版 日本国語大辞典 「木の芽」の意味・読み・例文・類語

き【木】 の 芽(め)

① 木に萌え出た新芽。このめ。《季・春》
山椒(さんしょう)の新芽。香りが高いので食物に添えて用いたり、木の芽あえにしたりする。このめ。《季・春》 〔俳諧・改正月令博物筌(1808)〕
アケビの新芽。このめ。
※顕昭古今集註(1185‐91)一「かすみたちこのめもはるのゆきふれば〈略〉このめは木の目也。但人の食する物にきのめといふはあけびといふものの葉を云也」
④ 柚(ゆず)の葉をいう女房詞。このめ。〔東大本女中詞(旧黒川家蔵)(17C)〕
歌舞伎お染久松色読販(1813)序幕「又田螺(たにし)の木の目よ」

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デジタル大辞泉 「木の芽」の意味・読み・例文・類語

き‐の‐め【木の芽】

樹木の新芽。このめ。 春》
サンショウ若芽
[類語]若芽新芽ひこばえ冬芽ふゆめ冬芽とうが花芽はなめ花芽かが葉芽下萌え頂芽腋芽むかご肉芽麦芽もやし

こ‐の‐め【木の芽】

春にもえ出る木の新芽。きのめ。 春》あけぼのの白き雨ふる―かな/草城
サンショウの芽。きのめ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木の芽」の意味・わかりやすい解説

木の芽
きのめ

「このめ」ともいう。一般にはサンショウの若芽を木の芽というが、東北・信越などの雪国地方では、アケビの若芽を木の芽という。木の芽(サンショウの若芽)は広くいろいろな料理に用いられる。木の芽田楽(でんがく)は、木の芽をすり鉢ですってみそを加え、それを豆腐に塗って焼いたもの。木の芽和(あ)えは、白みそ、みりん、砂糖を混ぜ合わせたものに、木の芽をすって加え、イカ、タコタケノコなどを和える。和える材料は小口切りか、賽(さい)の目に切り、下煮して薄味をつけておく。なお、青みを強くするには、ゆでたホウレンソウの葉先を細かく刻んで加える。木の芽焼きは、溶き卵にサンショウの若芽のみじん切りを加え、タイ、サワラなど白身魚の切り身を焼いた上に塗って、さっと焼く。

多田鉄之助


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百科事典マイペディア 「木の芽」の意味・わかりやすい解説

木の芽【きのめ】

日本料理サンショウの若葉をいう。かおりがよく辛味があり香辛料として用途が広い。吸物に浮かしたり煮物の青みに添えたりする。刻んでみそに入れた木の芽みそは木の芽田楽(でんがく),木の芽和(あ)えなどにする。三杯酢にまぜた木の芽酢,付焼にふりこむ木の芽焼などもある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「木の芽」の解説

木の芽 (キノメ)

植物。ツバキ科の常緑低木,園芸植物,薬用植物。チャの別称

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世界大百科事典(旧版)内の木の芽の言及

【サンショウ(山椒)】より

…はじめは〈はじかみ〉と呼ばれたが,同じようにしんらつ味をもつショウガが伝来すると,それを〈くれのはじかみ〉と呼び,サンショウは〈なるはじかみ〉〈ふさはじかみ〉と呼んで区別するようになった。3月ころから新芽を吹くが,この新芽や若い葉を〈木の芽〉と呼び,煮物の香りづけや汁物の吸口に用いる。木の芽みそ,サンショウみそはみそにすりまぜたもので,木の芽あえはこれでたけのこやイカをあえたもの,木の芽田楽は豆腐にこれを塗った田楽である。…

※「木の芽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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